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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

シネ・ウインドでエリザベス宮地監督によるBiSHドキュメンタリー映画『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』を観て来ました!

2018-02-18 00:23:55 | Weblog


2/13(火)、シネ・ウインドで『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』を観て来ました!



ちなみに予告編はこんな感じです。





この映画、アイドルグループのBiSHのドキュメンタリー映画ということに一応なってはいるんですが、それにしてはすごく変わった映画です。
まず、この映画がどういう経緯で作られることになったのか、というのが、非常に複雑なのですが、それについては一応映画の中で解説がなされています。

と言う訳で、話は2013年のカンパニー松尾監督の『劇場版テレクラキャノンボール2013』にまで遡ります。
これは、ハメ撮りAVを得意とするAV監督のカンパニー松尾監督が、複数人のAV監督でハメ撮りを競い合うという、AVメーカー、ハマジムの人気企画を映画化したもので、すごく面白かったです。

その企画の派生企画として、2014年には『劇場版BiSキャノンボール』という映画が作られました。
これは、テレクラキャノンボールのAv監督たちが、2014年に解散したアイドルグループのBiSの解散ライブの裏で、各メンバーと一対一でカメラを向けながらハメ撮りを狙うというとんでもない企画で賛否両論を巻き起こしました。(どういう結果になったのかは敢えて書かないでおきます。DVDが出ているので気になる方はレンタルして見てみてください)

その後も、AVメーカーのハマジムと、BiSの所属する事務所・WACKとのコラボ作品は続き、2017年には『劇場版 BiS誕生の詩』、『WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩』が作られました。
が、この映画は新潟では上映されなかったので、僕は観ていません。(観たいです!)

そして2017年、WACKに所属する、BiS、BiSH、GANG PARADEの3組の新メンバーオーディションに、ハマジムのAV監督やミュージックビデオの監督が密着してドキュメンタリーを撮影(の裏で、またしてもハメ撮りを狙う!)という、『劇場版アイドルキャノンボール』が作られました。
この『劇場版アイドルキャノンボール』に参加し、BiSHに密着していたミュージックビデオ監督にエリザベス宮地さんという方がいたのですが、撮影しながらエリザベス宮地さんはどんどんBiSHへの思い入れが強くなっていってしまった結果、なんとスピンオフ的な映画が一本新たに出来てしまった…こうして生まれたのが、この映画『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』です。

なのでこの映画『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』は、『劇場版アイドルキャノンボール2017』の裏企画というか、2本セットで観る人向けのような映画になっていたなあと思います。
ちなみにシネ・ウインドでは、『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』の上映は2/10(土)~16(金)、『劇場版アイドルキャノンボール2017』の上映は2/24(土)~3/2(金)となっていたので、本編よりも先にスピンオフが上映された形になりました。



さてさて、要するにこの映画、そういうややこしい設定の映画なわけです。
だから、純粋にBiSHのファンで、BiSHのドキュメンタリーが観たいという方が観たら、ちょっと面食らう映画かも知れないなあ…と思いました。

そしてもう一つ、この映画を決定的にややこしくしているのが、誰であろう、この映画の監督のエリザベス宮地さんです。
このエリザベス宮地さんという方、僕はすごく好きな方なので、ちょっとそこらへんのお話をさせていただこうと思います。



僕がエリザベス宮地さんの存在を初めて知ったのは、「MOOSIC LAB 2013」の『ミヤジネーション』という映画でした。
この映画、エリザベス宮地さんとSEBASTIAN Xの永原真夏さんが二人で作り上げたドキュメンタリー映画なのですが、一応、永原真夏さんが監督、主演がエリザベス宮地さんということになってはいるものの、二人の関係性の変化を中心として話が進んでいくので、途中からどっちがどっちを撮っているのかよく分からなくなってくるという不思議な映画なのです。

で、この映画の中で登場するのですが、エリザベス宮地さんという方は、もともと学生時代にマスターベータソンというオナニーの世界大会に出場しなんと優勝してしまったという、すごいんだかヤバいんだか分からないとんでもない人物で、大会に向かう自分を自らカメラで撮影するというドキュメンタリーを自主制作していた方なのです。
その時にエリザベス宮地さんが撮った映像は『みんな夢でありました』というドキュメンタリー映画になっていて、僕はこの映画、2015年に新潟で上映があった時に観に行って、エリザベス宮地監督にもお会いしました。



でですね、僕は『ミヤジネーション』も『みんな夢でありました』もすごく好きな映画なんですよね。
どこが好きかと言うと、それが先程書いたような、エリザベス宮地さんの「ややこしさ」が好きなんです。

エリザベス宮地さんの関わっている作品は、基本的にエリザベス宮地さんが自分を記録したドキュメンタリーになっています。
ドキュメンタリー映画には、想田和弘監督の観察映画のように監督や撮影者が出来るだけ客観的な視点で撮影対象を記録するタイプと、テレクラキャノンボールのように積極的に撮影対象に関わっていくタイプの、2パターンあると思うのですが、エリザベス宮地さんの作品は、完全に後者です。

そして、撮影対象に積極的に関わっていくタイプのドキュメンタリーの多くは、何かの狙いがあってそういうアクションを起こしていくものだと思いますが、エリザベス宮地さんの場合はそれとも違って、撮影しながらその時の自分の気持ちの変化などが、作品にどんどん投影されていってしまうという、かなり特殊なタイプの監督だと思います。
だから、言ってしまえばそれはドキュメンタリー監督としてはあるまじき行為にも思えるのですが、そういう自分の変化を記録したセルフドキュメンタリーである、と思えば、これはこれで結構楽しいし、何よりそういう面白いことをしている人が僕は大好きなのです。

なので、エリザベス宮地監督の作風は、ほぼエリザベス宮地監督ご自身そのものを反映していると言っても過言ではないと僕は思うのですが、そういう作品からは常に、エリザベス宮地監督のややこしい性格が常に全開になっているなあと僕は思っています。
エリザベス宮地監督は、基本的に童貞をこじらせたいつまでも中二病の男子みたいな自分の内面を、いつも表現しているような方で、だから「ややこしい人だなあ…」と思ってしまう反面、そこが魅力でもあり、彼だからこそ表現できる切なさみたいなものもあるなあと思っています。



話が長くなってしまいましたが、そんなエリザベス宮地監督がBiSHの映画を撮るわけですから、まず間違いなくややこしい映画になることは必然でもあると言えます。
実際、この映画はBiSHのドキュメンタリー映画というより、BiSHをこじらせてしまったエリザベス宮地監督のドキュメンタリー映画になってしまっていると言えるかも知れません。

先程も書きましたが、そもそもこの映画の始まりが、『劇場版アイドルキャノンボール2017』に参加したエリザベス宮地監督が、段々BiSHに対して尋常ならざる思い入れの感情を抱いて、と言うかこじらせてしまった結果、スピンオフとして生まれた外伝的な映画ですからね、こうなることは始まりから分かっていたと言っても過言ではないのです。
映画では、BiSHを撮影しながら、何故かどんどんBiSHに、と言うか、アイナ・ジ・エンドさんに対してほとんど恋愛感情に近いものを抱いていってしまったり、自分の撮影が思い通りにいかずに何故か号泣してしまい周りのAV監督やWACKの渡辺淳之介さんから呆れられてしまったり、しまいにはBiSHのメンバーから距離を置かれてしまって何とかヨリを戻そうと空回りしたりする、非常にカッコ悪いエリザベス宮地さんの姿が、ハッキリと映像に記録されてしまっているのです。

正直、「おいおい!」って思ってしまう部分もありますし、特に女性が見たらドン引きする一面もあるのかも知れませんが、僕はどうしてもエリザベス宮地さんを嫌いになれないと言うか、どこか憎めない愛すべき人物だなあと思ってしまうのです。
エリザベス宮地さん、何て言うか、いつまでも童貞のスピリットみたいなものを持ち続けているような方だと思うのですが、そういうダサさとその中で見える必死さみたいなものが、どうしても男子の一人としてグッときてしまうのです。



そんなエリザベス宮地さんが撮った映画ですので、何度も書いているように、純粋なBiSHのドキュメンタリーとは程遠い内容だと僕は思うのですが、でも彼が撮ったからこその魅力もあって、それは何かと言えば、BiSHのメンバーがものすごーーーーく可愛く撮れているのです!
いや、これやっぱりね、エリザベス宮地さんの童貞スピリットによる影響が大きいと思うんですよ。

童貞スピリット故の、女子という生き物に対する純粋な憧れが、そのままカメラを通してスクリーンを通して伝わってくる気がするのです。(ここにドン引きする人はするのかも知れませんが…)
要するに、童貞と美少女っていう組み合わせは、とんでもなく相性がいいんだろうなって思います。

また、何度も言うように、この映画は基本的にエリザベス宮地さんのダメな部分、カッコ悪い部分が全開になってしまっているので、その分、対照的に過酷な状況下でも頑張り続けるBiSHメンバーのアイドルとしてのカッコ良さがガンガン伝わってくるのです。
例えば、物凄く過剰に過酷なオーディションで怪しい大人たちに囲まれながら、またそれをネットを介して全国にいるファンたちからの目に晒されながらも、自分たちの道を模索し続ける姿は、残酷だなあと思いながらも、「アイドルってすごいなあ…」と感動してしまったりもするわけです。(ところで、BiSHに限らず、WACKのアイドルは全体的に、過剰に残酷な状況に意図的に追い込むことで、魅力も発揮させていると思うのですが、これに関しては後日「劇場版アイドルキャノンボール2017」の感想の時にでも書こうと思います)

さらにステージで精一杯輝く姿が魅力的なのはもちろん、ステージ裏でも苦悩をしながらも頑張る姿や、そして何より、アイドルであると同時に女の子たちでもあるという、彼女たちの喜怒哀楽が、物凄く魅力的なのです。
しかも、エリザベス宮地さんがちょっとダメな人だし、にも関わらずBiSにガンガン絡んでいってしまうことで、何て言うか、結果的に色んなエピソードが生まれてしまって、まったく意図しなかったであろう方向で映画が面白くなってしまっているのです。

例えば、エリザベス宮地さんが、アイナ・ジ・エンドさんにばかりカメラを向けるので、ハシヤスメ・アツコさんがちょっと怒ってしまって、それで何とかエリザベス宮地さんが仲直りしようとする下りとか、なんかもう、めちゃくちゃ人間臭くて最高でした。
そうなんです、この映画、全体的に監督もアイドルも人間臭さが全開で、そこがたまらないのです。

途中でBiSHとエリザベス宮地監督の仲がちょっと険悪になって、それがどう仲直りしていくか?みたいな下りは、本当にぐっときてしまいました。
何て言うかそのまんま、ダメな男子が女子と喧嘩して仲直りしようと頑張るみたいな物語になってしまっているんですけど、驚いたことにこれドキュメンタリーなんですよね…笑

他にも、ちょっとネタバレになりますけど、BiSHから「ちょっと外に出ていてください」って言われたエリザベス宮地監督が、言われた通りに部屋を出て行くんですけど、それで正しかったの?カメラをガンガン向けて行くべきだったんじゃないか?それが出来ないから自分はいつまでもダメなんじゃないか?と本気で迷い続けた結果、正直にBiSHのアイナ・ジ・エンドさんにそのことを聞いてみる、という流れになるんですよね。
そこで知ったのは、実はあの時、BiSHのメンバーでエリザベス宮地さんへのプレゼントをサプライズで準備していた!という…なんかもう、計算されたかのような切なすぎるエピソード、ちょっと出来過ぎてますよね!



で、色々あって、最終的に、何とかBiSHのドキュメンタリーを撮りきったと思いきや、どこか物足りなさが残るエリザベス宮地監督は、まさかの「BiSHのメンバーに映画を撮ってもらう」という方向で動き始め、そしてまさかのアユニ・Dさんにそれを依頼するという、最終的に一体どこに向かうんだこの映画は…って感じで、はっきり言って最後までまったくきれいにまとまってはいないのですが、そういう歪さが魅力の映画なのかも知れないなと思いました。
そんなわけでこの映画、何度も言うように、純粋にBiSHのドキュメンタリー映画を期待して観に行くのはちょっと違うかも知れないけど、BiSHをはじめ、監督を含む色んな人間の思惑が絡み合うすごく人間臭いところがなんか好きでした。

あと、この映画は、BiSHの「オーケストラ」という曲に起こった一連の顛末が記録されていまして、ファンの方には有名なのかも知れませんが、僕はまったく知らなかったので「そんな経緯のある曲だったの!?」っていう驚きがありました。
とにかくBiSHというかWACKというか、こういう変な文化がこうして映画にちゃんと記録されて残っていくのはいなあって思います。

最後に、散々BiSHの純粋なドキュメンタリーではないとか書いてきましたけど、でも何だかんだ僕はBiSHのメンバー一人一人が好きになってしまったのでやっぱりいい映画なのかも知れないですね!
アイドル好き、ドキュメンタリー映画好き、サブカル好きな自分は観られて良かったし、そういう人には一度見て欲しい映画です!(新潟のアイドル誰か見に来てないかなって密かに期待したんだけど誰にも会いませんでした笑)
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