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MOOSIC LAB 2018 新潟編、感想まとめました!(内回りの二人、月極オトコトモダチ、いつか輝いていた彼女は、無限ファンデーション、ドキ死、左様なら、ゆかちゃんの愛した時代、普通は走り出す)

2019-04-22 22:18:25 | Weblog


4/20(土)、21(日)の二日間、シネ・ウインドで開催された、「MOOSIC LAB 2018 新潟編」。
二日間に分けて、合計8作品が上映されました。



二日間の思い出は、こちらに書いてきました。
シネ・ウインド、MOOSIC LAB 2018 新潟編、1日目に行って来ました!(『内回りの二人』『月極オトコトモダチ』『いつか輝いていた彼女は』『無限ファンデーション』)
シネ・ウインド、MOOSIC LAB 2018 新潟編、2日目に行って来ました!(『ドキ死』『左様なら』『ゆかちゃんの愛した時代』『普通は走り出す』)



せっかくなので、二日間で観てきた8作品の感想をまとめて書いていこうと思います!





『内回りの二人』
監督・脚本:柴野太朗 音楽:町あかり

地下アイドルとファンという関係で一度だけ出会ったことのある男女が、深夜の山の手線の中で出会い、終電から夜明けまで東京の街を歩きながら話すという、ありそうでなさそうな物語。
僕自身、電車の中でアイドルに出会ったことがあるし、そこでこういう展開になることを妄想したこともあるのでちょっとドキっとしました。
でも、実際にこんなことはないと思うので、そういう意味で、現代の東京を舞台にしたファンタジーだと思いました。
リアルな男女というより、男性の主人公から見た魅力的な女性像を描いた作品なのかなと思いました。
町あかりさん作の「長所はスーパーネガティブ!」を歌う岡野真也さんがとにかく可愛い。





『月極オトコトモダチ』
監督・脚本:穐山茉由 音楽:BOMI、入江陽

今話題のレンタル彼氏に潜入調査を図る、女性ライター。
しかし、調べれば調べるほど、レンタル彼氏とは契約なのか本当の恋愛なのか分からない、不思議な関係に…
果たして友達と恋愛の越えてはいけない一線はどこにあるのか。
そして、主人公の女性は、恋愛に対して抱えていた自分の本当の気持ちと向き合うことに。
特殊な設定でありながら、男女のすれ違いという恋愛の本質に向き合った傑作ですが、重すぎずにポップな雰囲気で楽しめるところも良かったです。





『いつか輝いていた彼女は』
監督・脚本:前田聖来 音楽:MINT mate box

テレビ番組の企画で、母校を訪ねるMINT mate boxのボーカル。
彼女の回想シーンとして学生時代が描かれていくかと思いきや、彼女は脇役となり、彼女の周りにいた人間模様が描かれていく。
バンドマンと付き合い学校での人間関係から離れていく彼女と対照的に、彼女と結成する予定だったクラスメイトたちのバンドは空中分解していく。
そして、そんな音楽に青春を捧げられなかった彼女たちの疑心暗鬼で殺伐とした人間関係は、非常にリアルに描かれていまいた。
音楽で成功した者の陰には報われなかったたくさんの青春がある、という意味で、音楽と映画のコラボとしては新しい視点だったかなと思いました。
そして、成功した者もそうでない者もみんな、そんな過去の苦い思い出を抱えながら生きているんだなと、非常に胸を打つものがありました。





『無限ファンデーション』
監督:大崎 章 音楽・主題歌:西山小雨

デザイナーを目指す主人公の女の子が、高校の演劇部の衣装を担当することになるんだけど、彼女を誘った女の子が演劇の本番の日にオーディションを受けると言い出し、どんどん揉めていく演劇部の人間関係に巻き込まれていく。
人間が集団で何かを作ろうとする時に起こりがちな人間関係のトラブルの物語で、僕自身、自分の色々な体験を思い出して胸が痛くなったくらいだし、共感できる人、多いんじゃないでしょうか。
思春期の少女たちが不器用にもがき傷付け合う姿は見ていてとにかく見ていて胸が痛くなるんだけど、それだけに西山小雨さんの音楽の優しさが沁みました。
そしてこの映画、何が凄いっておおまかなあらすじ以外はすべて役者の即興で作られていることで、だからこそ、まるでドキュメンタリーを観ているようなリアリティがありました。
最後に彼女たちが迎える結末は、そんなボロボロの青春の中の微かな希望のようだと思ったし、それをこの映画の役者さんたちが即興の演技で見付けだしていったんだと思うと、その二つが重なって見えて、さらなる感動がありました。





『ドキ死』
監督:井上康平|脚本:鳥皮ささみ 音楽:Nakanoまる

一人暮らしで友達も恋人もいないどころか他人と会話すらほとんどしない女性が主人公なんだけど、そんな彼女の無口さとは対照的に饒舌なモノローグと目まぐるしいカット割りが印象的なコミカルな映画でした。
そんな彼女は、ある男をストーキングすることに喜びを見出すわけですが、彼女の気持ちが言葉になるのは一人でギターを弾き語る時だけ、という設定は非常にムーラボらしいなと思いました。
主人公が好きな男には同棲している彼女がいるのですが、その女をストーキングしている男と出会い、お互いの目的のために二人を別れさせようという彼のめちゃくちゃな作戦に巻き込まれるがままになし崩し的に行動を共にすることに。
彼の作戦はどれも強引なものでことごとく失敗していくのですが、そのやり方がまるで下手な映画を撮ろうとして失敗する監督のようで、それもまた「映画を撮る」ということで遊んでいるようで、非常にムーラボらしいと思いました。
そして、一つも計画通りにいかないまま、ふとした瞬間に意図しない「ドキ」もあったりして意外な方向に物語は進んでいくのですが、最後にもう一度主人公が弾き語るシーンで彼女の心境の変化が感じられるエンディングも、非常にムーラボらしいと思いました。





『左様なら』
監督・脚本:石橋夕帆 原作:ごめん 音楽:佐野千明

ある高校のクラスを舞台に、いくつもの仲良しグループ、目立つグループや孤立する生徒などのスクールカースト、いじめや噂話、恋愛などの毎日を非常に生々しく描いた映画。
そんな中、主人公の女の子が一番仲良かった女の子(blue的な百合描写あり)が、ある日突然亡くなってしまう。
それがきっかけで主人公がさらに孤立したり、それでも噂話は絶えなかったり、かと思ったら主人公が別な男の子と仲良くなったり、それをガキ大将的な女の子に目を付けられたりと、複雑で繊細に変わっていくクラスの人間模様を淡々と描き続ける。
主人公の女の子はいるものの、色々なクラスメイトそれぞれの抱えているものを一つ一つ丁寧に描いているのが印象的で、そんな彼らのモノローグがタイトルにもなっている「左様なら」という詩を次々と読んでいくクライマックスは、言葉にならない感動がありました。
そんな中、主人公は一人でイヤホンで聞く音楽や、仲の良くなかったクラスメイトに誘われて初めて行ったライブハウスで出会った音楽に安らぎを見出しているのが非常にムーラボらしいと思いました。





『ゆかちゃんの愛した時代』
監督・脚本:吐山ゆん(破れタイツ) 音楽:℃-want you!

2019年4月31日の平成最後の夜を舞台に、平成元年生まれの主人公の女の子が彼氏と食事をしながら、平成の30年間を振り返る映画。(撮影されたのが去年なので「令和」って単語が登場しないのも面白ポイント)
おそらく監督自信も平成元年生まれで、監督がこの主人公同様に平成と言う時代に思い入れがある気持ちを詰め込んだような映画だと思いました。
監督自身の人生を振り返ることで平成の30年間を振り返るような内容で、この主人公と2歳しか違わない自分は、映画に登場するそれぞれの時代の出来事や流行語、ヒットした音楽やテレビ番組などの出来事が、非常に生々しく思い出されたし懐かしかったです。
特に、℃-want you!さんの手がけた平成のヒット曲のパロディの数々には思わずくすっと笑ってしまう面白さがありました。(モーニング娘。の露骨なパロディが)
そんな平成を振り返りながら、主人公はお笑いブームの時に彼氏とお笑いブームを志すもお笑いブームの終焉ともに売れなくなっていくわけですが、二人がもう一度楽しく頑張っていこうというポジティブな気持ちになったところで平成が終わるエンディングからは、新しい時代を明るい気持ちで迎えたいという気持ちを感じました。





『普通は走り出す』
監督・脚本:渡辺紘文 音楽:トリプルファイヤー

ダメな映画監督を監督が自ら演じ、いかに自分がダメな映画監督なのかという葛藤をそのままぶつけたような映画でした。
フィクションとは言え、映画に登場する主人公の映画監督がここまでダメな人を映画で観ることはないよなというくらい本当にダメな人という、まさに自虐的な映画であり、『普通は走り出す』というタイトルですが、この映画は『普通に走り出せない』自分自身を描いていると感じましたし、正直、少し感情移入もしました。
しかし、そんな主人公が走り出せないながらも葛藤が少しずつ加速していくわけですが、一見主人公は最初から最後まで何も変わらないように見えるけれど、微妙な変化がこの映画の演出に現れていたと思ったんですよね。
映画の前半は、ただの定点カメラの映像だけとか、敢えて「手抜き」と思われるような映像を多用しているのですが、それが後半になるとカット割りや映像を加工したりと映像が複雑化していき、それ自体が主人公の、もっと言えば監督の心境の変化を表現していたんじゃないかと感じました。
そして、トリプルファイヤーの乾いた音楽やどこかひねくれた気持ちをぶつけてくるようなあの音楽が、全体的にこの映画に非常によく合っていたと思いました。





以上、僕なりのMOOSIC LAB 2018 新潟編の感想でした!
今後も、ムーラボが新潟でも観られるのを楽しみにしています!
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