狐の日記帳

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『美術館を手玉にとった男』

2016年09月29日 11時13分43秒 | 映画・ドラマに関する日記


 昨日の夜は、ドキュメンタリー映画『美術館を手玉にとった男』のDVDを観ていました。
 全米46ヵ所の美術館に30年にわたって贋作を寄贈し続けた贋作作家マーク・ランディスを描いたドキュメンタリー映画です。

 アメリカの各地の美術館に展示されていた数々の名画が贋作だと判明した。
 持ち込んだ人物は同一人物。
 この件でFBIが捜査に乗り出すがその男は贋作を美術館に無償で寄贈していた為、罪に問われることはなかった。
 彼は何の為に自分で作った贋作を美術館に無償で寄贈していたのか???

 監督は、サム・カルマンとジェニファー・グラウスマンです。




 オリジナルであることが尊い。その考え方に揺さぶりをかけてくる映画です。
 映画の中で多くの人が贋作者に「自分の作品を描いてください」と述べます。
 確かにあの贋作を観たら彼のオリジナルの作品を観たくなります。
 でも多分、彼はオリジナルな作品を創ることが無理な人です。
 物凄い技術を持っています。
 しかしそれは贋作を作る為の技術で自分の作品を創る為の技術ではないような気がします。
 そして彼は自分の作品を創ることに興味がないように思えます。

 では彼の作品は贋作なので価値がないかというと……。
 贋作で彼の作品であると分かったうえで、価値がある……少なくとも観たいと思う人がいるのです。
 つまり彼の作品は贋作であってコピーなのだけれどもオリジナルでもある、とも言えるのです。
 しかし有名な画家の作品であると偽っているのだからオリジナルではなく破棄されるべきものととらえることもできるのです。
 う~む。

 多分、彼は悪いことをしていると心の奥底では思っています。
 なのでナチュラルに嘘を吐いている。
 贋作を作ることが唯一の楽しみ。慈善家を装うことで心の均衡をかろうじて保っている。
 彼に悪意はない。でも心の奥底では悪いことをしていると思っているのではないか?

 彼が美術館に寄贈する絵画が贋作であると見抜いて彼を追いかける男の執着心が面白いです。
 愛憎入り混じった感情。


 面白かったですよ。
 楽しめました。


 

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