2 分で読む
[東京 30日 ロイター] - 米大統領選の第1回候補者討論会が29日、オハイオ州クリーブランドで開かれた。共和党候補のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領は、最高裁判事の指名や新型コロナウイルス対応について激論を交わした。市場関係者のコメントは以下の通り。
<AMPキャピタル(シドニー)の投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏>
政策面で根本的に新しい情報はあまりなかった。
株式市場は通常、現職再選を好む。米株価指数先物は当初、上昇した。おそらくトランプ氏が幾つかパンチを放ったからだろう。ただ、それでは不十分だった。
個人的には、バイデン氏がかなり善戦したと思う。このため、米株価先物がその後下げに転じたのは意外ではない。市場では、激戦の見込みや結果判明の遅延、トランプ氏が負けた場合に平和的な政権移行に応じるかを巡る懸念が再燃している。
<OCBC銀行ウェルスマネジメント(シンガポール)のシニア投資ストラテジスト、バス・メノン氏>
市場への影響はほぼニュートラルだろう。いずれの候補も大幅に優位ではなかったからだ。
討論会後の米株価指数先物は小幅な上昇にとどまり、アジア株の反応はまちまちだった。おそらく有権者の心理が大きく動かなかったためだろう。
<プルデンシャル・ファイナンシャルのチーフ・マーケット・ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏>
態度未定の有権者の心を動かすことが今回の討論会の目標だったとすれば、目標を達成できたとは思えない。
「討論会」とされていたが、収拾がつかない状態だった。
トランプ氏は恐らく、こうした状態を大いに楽しんだとみられるが、バイデン氏はもっと政策の説明に時間を割きたかったのだろう。
(市場にとっては)時間の無駄だったのではないか。ただ、私が注目している2つの賭けサイトの動向は興味深かった。バイデン氏の支持率が大きく上がったとは言わないが、少しだけ上がった。
<ピクテ投信投資顧問 シニア・フェロー 市川 眞一氏>
討論会の内容自体にサプライズはないが、両候補の振る舞いが印象的だった。現職のトランプ大統領は余裕を持って受け答えすればよいものを、相手の発言にかぶせるように発言するなど、焦りを見せてしまった。
一方、バイデン前副大統領は入念に準備をしてきたようだ。納税問題が物議を醸しているトランプ大統領に対するかのように、2019年の納税申告書を討論会直前に公表。討論会の受け答えもトランプ氏の土俵に乗らず、余裕を持っているように見えた。前回大統領選の討論会で、ヒラリー・クリントン候補がトランプ氏と正面からやり合ってしまい、評価を下げたことなどを十分研究したのかもしれない。
今回の討論会を経ても、トランプ氏は支持率で逆転できず、バイデン氏優位の構図は変わらないだろう。次回の討論会で、トランプ氏は現職の強みを活かし、実績をアピールするための政策論争を仕掛けてくるのではないか。
<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>
大統領候補による第1回のテレビ討論会に関して、為替相場は目立った反応を示していないが、郵便投票問題、最高裁判事の人事・指名問題、トランプ氏の納税問題など、さまざまな分野を巡る混乱が長引くことが予想され、少なくともドル買い材料にはならなかった。
今後第2弾、3弾の討論会が開催されても、討論会の内容がドル買いを導く可能性は極めて低いとみている。まともに選挙もできない国の通貨を買い進めるのは難しい。
為替市場が本格的に反応するのは、大統領選の結果やその後の混乱の度合いを確かめてからとなりそうだ。
郵便投票によって民主党の支持票は増えるかもしれないが、開票手続きが遅れる可能性があることや、トランプ氏が敗北した場合は、訴訟で結果の無効を主張するリスクもあり、一段と混迷が深まりそうだ。
一方でトランプ氏支持者は、きょうの討論会の内容にかかわらず、支持し続けるだろう。
*内容を追加しました。