「首相会見」与党に波紋 固唾のみ見守る幹部ら
2020年08月26日20時32分 jiji.com
健康不安が取り沙汰される安倍晋三首相が28日に記者会見し、自身の体調について説明する方向となり、与党内で26日、波紋が広がった。自民党役員は9月末に、衆院議員も来年10月に任期切れを控え、人事権や衆院解散の権限を握る首相の健康状態は、政局の行方を大きく左右しかねないためだ。首相は何をどう説明しようとしているのか。与党幹部らは固唾をのんで見守っている。
自民党幹部は数日前、官邸に常駐する首相の側近に電話し、体調について探りを入れた。直接官邸に出向けば「大騒ぎになる」と思い、電話にしたという。この幹部は首相側近の話の内容は明かさず、「退陣しないといけないほど悪いわけではない」との見方を示す一方、「気力があれば続けられる。通院しながら公務をやればいい」とも語り、極めて微妙な状況をうかがわせた。
首相は第1次政権時の2007年9月、持病の潰瘍性大腸炎を悪化させて退陣した経緯があり、政権復帰後も健康不安説は影のようにつきまとってきた。春先からの新型コロナウイルス対策で忙殺された上、政府対応が批判を招いて内閣支持率が急落。通常国会閉幕後の7月ごろには「顔色が悪い」「疲れているようだ」などの声が周辺から漏れていた。今月17日に慶応大病院で検査を受けたことで、健康不安説が一気に広がった。
ただ、首相が24日に改めて同病院で受診した後、テレビカメラの前で「体調管理に万全を期し、これからまた仕事に頑張りたい」と発言したのを見て、回復傾向を感じ取った自民党幹部もいる。この幹部は「お盆の頃が一番大変だったみたいだ。だんだん良くなっている」と胸をなで下ろし、秋に臨時国会を召集しても首相は対応可能ではないかと期待を示した。
だが、政権トップの健康問題はそもそも「秘中の秘」だけに、首相と直接面会した党幹部らも含め、疑心暗鬼を募らせる一方だ。仮に首相が会見で検査結果などを詳しく説明し、健康不安を否定しても、周囲の疑念を払拭(ふっしょく)できるとは限らない。
実際、20日に首相と会った自民党の岸田文雄政調会長は25日の講演で、「首相の体の中は外から分からないし、心の内もうかがい知ることはできない」と明かした。公明党幹部も「本人と主治医しか本当のところは分からない」と指摘した。
首相動静(8月26日)
2020年08月26日22時04分 jiji.com
午前10時40分、私邸発。
午前10時56分、官邸着。
午前11時15分から同30分まで、木原稔首相補佐官。
午後1時52分から同2時16分まで、石川正一郎拉致問題対策本部事務局長。
午後2時31分から同43分まで、岡田直樹官房副長官、北村滋国家安全保障局長、藤井健志官房副長官補、和泉洋人、長谷川栄一、今井尚哉各首相補佐官、樽見英樹新型コロナウイルス感染症対策推進室長、秋葉剛男外務事務次官、福島靖正厚生労働省医務技監。
午後3時1分から同26分まで、小泉進次郎環境相、森美樹夫外務省アフリカ部長、山下隆一経済産業省産業技術環境局長、環境省の小野洋地球環境局長、鳥居敏男自然環境局長。
午後3時29分から同4時9分まで、西村康稔経済再生担当相、新原浩朗経産省経済産業政策局長。
午後4時10分から同30分まで、茂木敏充外相。同32分から同5時まで、国家安全保障会議。麻生太郎副総理兼財務相同席。同5時19分から同31分まで、加藤勝信厚労相、菅義偉官房長官、西村経済再生担当相、西村明宏、岡田、杉田和博各官房副長官、藤井官房副長官補、和泉、長谷川、今井各首相補佐官、樽見新型コロナウイルス感染症対策推進室長、矢野康治財務省主計局長、厚労省の福島医務技監、田中誠二職業安定局長。
午後6時5分、官邸発。
午後6時29分、私邸着。
午後10時現在、私邸。来客なし。