退位の皇室行事、全て私費 国事行為除く10儀式
天皇陛下の退位に伴う儀式のうち国事行為の「退位礼正殿(せいでん)の儀」を除く皇室行事はすべて、天皇家の私的費用である「内廷費」で賄われることに決まった。
八日の宮内庁の「大礼委員会」後に会見した西村泰彦次長は「(国費の)宮廷費からの支出も可能だが、現憲法で初めての退位で、儀式の前例がない。陛下のお考えも踏まえて宮内庁として内廷費で支出することとした」と説明した。
陛下の退位に伴う諸儀式は十二日から始まり、退位当日の四月三十日夕に宮殿・松の間で予定されている「退位礼正殿の儀」まで十一の儀式が行われる。このうち、政府が責任を負う国事行為は「退位礼正殿の儀」だけで、残りはすべて皇室行事である「大礼関係の儀式」として行われる。
一連の儀式について、西村次長は「全体として粛々と静かに執り行うことを基本にして式次第を立案した」とした。
退位に先立つ主な儀式は、皇居内の宮中三殿に陛下の退位と期日を報告する儀式をはじめ、初代天皇とされる神武天皇陵や皇祖神の天照大神を祀(まつ)る伊勢神宮、昭和天皇陵に拝礼する儀式などで、期日が未定だった昭和天皇陵への参拝は四月二十三日と決めた。
平成の代替わりの際に行われた伊勢神宮への新天皇の参拝では、陛下は伝統的装束を着用し、馬車を使用したが、今回は式年遷宮時の参拝形式などの前例も踏まえ、服装はモーニングで馬車ではなく乗用車を使う方針という。 (吉原康和)
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