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アタッて砕いてみる!

オバサン奮闘記

ネットで見つけたいい話

2010年10月25日 | 転載 (いい話)
         

小学生のとき、少し足し算、引き算の計算や、会話のテンポが少し遅いA君がいた。
 でも、絵が上手な子だった。
 彼は、よく空の絵を描いた。
 抜けるような色使いには、子供心に驚嘆した。

 担任のN先生は算数の時間、解けないと分かっているのに答えをその子に聞く。
 冷や汗をかきながら、指を使って、ええ・ええと・と答えを出そうとする姿を周りの子供は笑う。
 N先生は答えが出るまで、しつこく何度も言わせた。
 私はN先生が大嫌いだった。

クラスもいつしか代わり、私たちが小学6年生になる前、N先生は違う学校へ転任することになったので、
 全校集会で先生のお別れ会をやることになった。
 生徒代表でお別れの言葉を言う人が必要になった。
 先生に一番世話をやかせたのだから、A君が言え、と言い出したお馬鹿さんがいた。
 お別れ会で一人立たされて、どもる姿を期待したのだ。

   私はA君の言葉を忘れない。

「僕を、普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました」

 A君の感謝の言葉は10分以上にも及ぶ。
 水彩絵の具の使い方を教えてくれたこと。
 放課後つきっきりでそろばんを教えてくれたこと。
 その間、おしゃべりをする子供はいませんでした。
 N先生がぶるぶる震えながら、嗚咽をくいしばる声が、体育館に響いただけでした。