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音楽大好き男の徒然なる日記

<鉄路の行方 黄色線区、議論の今>①「負担」触れず、結論先送り 国の支援不透明、動かぬJR

2024-02-07 | 鉄道
北海道新聞 2024年2月4日付記事
「<鉄路の行方 黄色線区、議論の今>①「負担」触れず、結論先送り 国の支援不透明、動かぬJR」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/971331/


JR北海道が国や地元などの負担を前提に存続を目指す赤字8区間(通称・黄色線区)を巡り、
3月までに国に示すことになっていた「抜本的な改善方策」が3年先送りされる。

2016年11月、同社が黄色線区を含む維持困難路線10路線13区間を公表して7年余り。
コロナ禍を挟んだとはいえ、鉄路の維持を巡る議論に大きな進展はなかったことが浮き彫りになった。
北海道新幹線の札幌延伸工事の遅れや人手不足の深刻化など、経営環境は大きく変わりつつある。
黄色線区議論の現状と今後を探る。
(5回連載します)


1月30日午前、JR北海道本社の会議室。
黄色線区沿線自治体の首長らが、JRや国土交通省幹部と向き合っていた。
「コロナ禍で十分な成果は上げられなかった」
「観光資源を生かして交通体系を考えたい」

■既定路線

会合は冒頭以外非公開。
JRと沿線自治体が2019年度から取り組んできた、
利用促進やコスト削減の取り組みの検証結果を国に報告する重要な場だ。
だが実際は取り組み結果をそれぞれ紹介した程度。
コロナを理由に結論を先送りするのは既定路線で、鉄路存続の方策を巡り議論を深めた形跡はない。

「状況を報告した。本当にそれだけだね」。
出席した首長はこう明かす。
 
2018年にJRに監督命令を出し、今年3月までの改善策を求めた国交省は
「持ち帰って分析する」(山崎雅生鉄道事業課長)とし、考え方は明確にしなかった。
 
JRが利用促進に取り組んだのは、増収への目に見える成果を出し、
国の財政支援を含め路線を維持する仕組みをつくる狙いからだ。
自治体側も歩調を合わせて、協力を続けてきた。
 
例えば宗谷線の名寄高校駅。
同駅は2022年、旧東風連駅を北へ1.5キロ移し、
名寄高から徒歩3分の場所に開業した。
生徒の利便性向上が目的で名寄市と道が6,200万円を負担。
1日平均5人だった利用者は平日朝だけで約35人に増えた。

2駅先の瑞穂駅から通う3年生の阿部優希さんは
「冬は旧駅まで暗い雪道を30分ほど歩かなければならず怖かった。
 今は時間に余裕ができ、部活後に自習をできるようになった」
と喜ぶ。
加藤剛士名寄市長は「利用者を増やす前向きな投資はしていきたい」と話す。
 
ただ、鉄路を持続可能にするには赤字を埋める仕組みも欠かせない。
8区間の営業赤字は2022年度で計139億円。
運行経費160億円に対し、運賃などの収入は21億円止まりだ。
実際にJRは国から監督命令を受けた2018年当時、赤字額の約3分の1に当たる40億円を、
国と、道・沿線自治体にそれぞれ負担してもらう構想を描いていた。
 
しかし、自治体関係者は
「JRから必要な支援額を示されたことはない」と口をそろえる。
負担を求める側から突っ込んだ話がないのに、
負担を迫られる側から積極的に協議を求める理由はない。
議論が進まないのは必然だった。



■延伸も影0
 
JRはなぜ、維持費負担を巡る協議に踏み込まないのか。
同社は「まず自治体と信頼関係を築くことが重要」(幹部)との立場を語るが、
議論を進められない理由はそれだけではない。
 
国は2021年成立の改正 ”国鉄清算事業団債務等処理法” に基づき、
北海道新幹線が札幌に延伸するとされた2030年度までJRへの支援を続ける方針。
ただ具体的な支援額や内容は、経営状況を点検するためという理由で
2、3年ごとに設定される。
将来を見通した長期的な支援策は見えない。
 
建設工事の停滞や2030年の札幌五輪招致断念で、
同年度末に予定した北海道新幹線札幌延伸が数年遅れる見通しとなったことも響く。

延伸は経営自立の大前提。
延伸の延期が決まればJRの経営問題に直結し、影響は黄色線区の議論にも及ぶ。
だが「2030年度末まで時間がある」(国交省関係者)などの理由から、
延期表明は当面ないとみられている。
 
単純な赤字の穴埋めはしない。地元の問題はまず地元で議論を――。
これが国の基本的なスタンスだ。
だがJR北海道の実質的な唯一の株主はその ”国” であり、
「自治体の費用負担の議論は国の姿勢が明確になってから」(道東の首長)というのが多くの自治体の考えだ。
平行線が続く中、JRが具体的協議を持ちかけないまま7年間が経過した。

 
今回、抜本的改善方策の先送りを3年間としたのは、
コロナ禍の影響を受けたのが3年程度だったためという。
この結論は経営的には大きな痛手だ。

黄色線区で100円の収入を得るために必要な経費は767円(2022年度)。
利用者の減少や燃料高によりこの3年で1.3倍に増えている。
JR幹部は「どこで議論の期限を切るか、国に決めてもらわなければ」と焦る。


■国の責任
広大な土地に少ない人口、厳しい寒さや大雪被害…。
1987年の分割民営化当時からJR北海道が他のJRより経営基盤が劣るのは明白だった。
金利低下で経営安定基金の恩恵も薄まる中、
JR貨物の支払うJR北海道への ”線路使用料” が民営化当時のまま低く抑えられている負担も響く。

「JRが危機的な状況になったのは、民営化する際に国の見通しが甘かったためだ。
 後始末を地方やJRだけに任せるのではなく、責任を果たしていただきたい」。

今春廃止される根室線「富良野~新得間」と、黄色線区の同線「滝川~富良野間」に関わる
富良野市の北猛俊市長は、そう訴える。

 (文章執筆:長谷川裕紀 氏)
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国鉄からJRへの分割民営化から37年。

新幹線のネットワークは延伸し、
「サフィール踊り子」など新車両が導入された一部の特急列車は確かに快適になったかもしれない。
しかし、新幹線の分だけ在来線はどんどん消滅してゆき、
人生を豊かにしてくれた「北斗星」などのブルートレインは全滅し、
北海道は路線そのものが”採算性”で切り棄てられてきた。

旅するに便利なワイド周遊券はなくなり、
価格面でやむなく高速バスを選んだが、
新宿発松本方面などは渋滞で遅れるし、
札幌発の釧路・北見・稚内方面は途中から片側一車線になり、
正直”足元がおぼつかない”し、
その流れの中で「関越自動車道高速バス居眠り運転事故」(2012. 4. 29. )https://w.wiki/4SdJ や
「軽井沢スキーバス転落事故」(2016. 1. 15. )https://w.wiki/3NYt
が起きた。

遠距離ドライブは正直疲れるし
何よりバス乗務員と物流ドライバーが激減したこの「2024年問題」の中でこそ
拠点都市間の観光ビジネス客と宅急便貨物を同時かつ迅速に運ぶために
「貨客混載ライナー」を新設するなど
”運行ダイヤ次第”で鉄道というインフラが解決できる。

沿線自治体&都道府県庁が線路設備を維持運営して、JRは車両運行だけする
「上下分離方式」が今後のローカル線区間に必要だろう。
ただ思う。
私鉄沿線や両毛線・八高線・五能線の沿線住民は鉄道維持経費の負担をせびられていないのに、
北海道内の鉄道は沿線自治体にせびられなければならないのか。
そもそも、住民が少ない以上に「ダイヤが不便だから」
住民はマイカーを使わざるを得ない、のではないか?

見事復活を遂げた只見線を見てもわかるように観光客は海外からもやって来るし、
インバウンド客が押し寄せるニセコなども鉄道が便利ならばもっともっと使うはずだ。
「採算性」「新幹線開業後の並行在来線」
そんなあこぎな理由で活性化のチャンスを見す見す捨てる事こそ問題でないのか。

確かに設備投資は必要だ。
ならば、その可能性への投資くらい国や物流業界などが負担してくれても良いのではないか。
いや、今こそ全国的に鉄道の維持運営のために
「交通税」が必要になったのだと思う。

改めるべきなのは、消極的な国・都道府県庁・業界の旧いアタマなのだ。



2024年2月9日付訪問者数:121名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。

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