猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

迷子石。

2009年02月26日 03時16分02秒 | つぶやき

 

皆さんは、迷子石をご存じだろうか。

江戸の昔、
目立つ場所に置かれた、石柱のようなそれを。

 

こちら、江戸東京博物館にあるのは、
今も、中央区八重洲の一石橋たもとにあるという、
迷子石のレプリカ。
正面には『満よい子の志るべ』と刻まれている。
そして、側面にちらりと見える凹みは、貼り紙をするための.....。

 

人の多い江戸では、見物小屋や祭りも多く、
それゆえ、迷子も多発していたのだそうだが、
たとえば迷子が出た場合。

お奉行所やお役人は、迷子探しまでは到底手が回らないということで、
庶民は自衛策に出た。

それは、子供に迷子札をつけさせることで、
まあ、これは今でいえば、
ペットのカラーに名前や住所等を書いておくのと同じということかもしれないが、
ときには迷子札をつけていない子供が迷子になってしまうこともあり......

これは、子供のゆくえをさがす親にも、
また、迷子札のない子供を発見した身にも、大変な問題で。

そこで登場するのが、冒頭で述べた、迷子石なのである。

 

江戸の迷子石は、上で述べた一石橋たもとのものの他に、
浅草寺境内にもあったのだが.....戦災で失われたそう。
しかし、1850年に建てられた湯島天神内のものは現存。
こちらは『奇縁氷人石』と呼ぶのだとか。

 

迷子石には、両側面にそれぞれ、文字が刻んであって、
一方は『たづぬる方』(尋ねる方)、
もう一方には『志らする方』(知らす方)と書いてある。

つまり、これは掲示板の役割を持ち......

迷子を保護した者は、その服装や特徴を書いた紙を『志らする方』に貼る。

で、迷子を出した者は、『たづぬる方』に、
子供の服装や特徴などを紙に書いて貼ると同時に、
反対側の『志らする方』をのぞき、
我が子がどこかで保護されていないかどうか確かめたのだそうである。

素晴らしいシステム!

(ちなみに奉行所がたてた掛札の掲示期間7日間だったため、
 それではイカンと、掲示期限なしの迷子石を誰かが作ったらしい)

 

ちなみに、ちょいと調べたら、江戸だけでなく、
大きな街道沿いや、京都などにも迷子石がある様子。
東海道沿い、桑名~四日市の間とか、八坂神社とか。

 

しかし、ときには迷子とされた子の親が出てこないこともあって、
これは江戸に捨て子が多かったことを反映していることでもあるようなのだが、
そういった場合は『町』が、その子を、
「幕府からの預かりもの」として養育したのだそうだ。

そして、町はその子を養育すると同時に、里親探しをし、
里親が見つかれば、その念書(「ちゃんと育てます」という)とともに、
皆で署名して、奉行所に届を出し......

ますます素晴らしいシステム!

 

ところで.....クッションから上半身がずり落っこちても熟睡中の我が家の子は、
こんなに警戒心がなくってよろしいのでしょうか?(笑)
「そんなにファンヒーターにべったりくっついて~。焦げるよ~」
「ZZZZzzzzzzz........すぴー」

 

いや、まあ、これは見方によれば、
お上からのお達しで町人が捨て子を『押し付けられていた』
と、とることも出来るのだが.......

しかし同時にそのころは、まだ乳児死亡率の高かった時代ということもあって、
里子を望む夫婦は多く。

その手続きは大変であっても、養子縁組成立率は高かったのだそうだ。

 

こちらはゴンザがいただいてきた、コーヒー豆入りのラー油。
なんでも、こうすると香ばしさも増し、酸化しないのだそうで。

 

ちなみに、この町が責任持って、捨て子を養育するシステムは、
あの、悪名高き生類憐みの令から生まれたそうなのだが。

綱吉さん......
もしかしたら、やっぱり、最近ひそかに言われているように名君?

いや......

江戸ではこういうシステムがあっても、
貧しい農村部では、 同時になんの救済もないままに、
おそろしく、哀しい『間引き』などが、ひそかに行われていたのかもと思えば、
手放しにそうも言えないのだけど......

現代における、連日の『産み捨て』報道を見て、私は思う。

捨てるなら、せめて死なずに済むような暖かいところにしてよと。

もっと誰かが見つけやすいところに。

 

......自転車のカゴとかトイレとか

あんまりだ。


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2 コメント

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続・昔 (へいたらう)
2009-02-26 18:26:44
昔、NHKで「御宿かわせみ」という時代劇をやってましたが、その中で、父親が出かけていると幼い娘が付いてきたので、「お父さんはお仕事なんだから、帰りなさい」と言って帰らせたはずが、そのまま、行方不明になり、数十年後、父親が亡くなるときに一家心中しようとしているところを見つかった・・・という内容のものがありました。
で、聞けば、割と近くに住んでいた・・・と。
でも、「幼かったので覚えていない」と。

江戸に限らず、私が子供の頃までは結構、これに似たことはありましたよ。
捨て子に限らず、人さらいもいましたしね。
返信する
そういえば。 (erima)
2009-02-26 19:47:06
へいたらう様

そういえばこの迷子石のことを調べると、「御宿かわせみ」とか、時代小説が何件かヒットしますね。
人情話の題材にするには、確かにいい題材となるのかもしれないですね。
この石の役目からして。

私自身も、赤ん坊の頃に一度養子に出されてますが、そのときはまだ出生届自体を両親が出していなかったので、
(というか、届が出されたのは2歳の頃なので、それまで私はこの世に存在しないことに...笑)
そのまま両親のもとに戻らなければ、養親の実子として届けられて成長し、「御宿かわせみ」のようなことが起こっていたかもしれません。

これ、人情話のいい題材になりませんかね?(笑)
返信する

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