中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第5回紬きもの塾――  桜、柿で染める

2016年09月06日 | 紬塾 '13~'16


桜が黄葉を始める中、真綿から自分で紬いだ糸と帯揚げ、半衿などを工房の柿の小枝と桜の枝葉などを使い染をしました。
今まで7月下旬が染の回でしたが、昨年から9月にしました。


2016年9月3日の時点で桜は黄葉を始め、柿は少し青みが抜けつつありますが、まだ青い実をつけています。

染め上がった色は7月よりも共に黄色味が抜け、赤味のふわっとした生き生きした色が染まりました。

草木の生の状態の染は刻々と変化していきます。
みなさんも染液に入れたすぐと時間の経過とともに色を変えていくことに歓声が上がります。

植物自体の変化と染め手の創意工夫で色相は無数に生まれます。
「あの色が欲しい、この色が欲しい」という囚われの狭い世界ではなく、どんな色が生まれてくるのかという発見と喜びがあります。

参加者から「草木染は無限なんですね」という言葉も聞かれました。

もちろん草木で染めることは簡単ではなく、媒染剤の使い方や、染め方、時間の経過の関係、堅牢性もあり、経験、熟練も必要です。同じ色を大量に染めるのも難しい点もあります。お手軽なものではありませんが、一人の人間が手織りで仕事していくぐらいの量は身近な植物で充分に染めていくことができます。

桜、梅、柿、ヤマモモなど、無媒染でも淡い色でしたら半衿や帯揚げ(絹でしたら)を染めることもできます。
工房では直径35cmほどのステンレスボールを使っていますが、帯揚げ1枚まででしたら家庭用の23cm~30cmぐらいのボールや鍋があればムラを作らず染めることができます。染材は被染物の同量~倍あれば十分です。染液はヒタヒタからかぶるくらいのほうがムラになりません。絶えず布を動かしていなければなりませんが。

今回はアシスタントがおりませんで、4時間半の時間内でなんとか染め上げなければならず、指導、指示だけで手一杯で写真を撮れなかったのですが、受講者が撮った以下の写真(余裕ですね。。。^^;)を共有させてもらいました。
       
染め上がった帯揚げは、みなさん実際に着物に取り合わせて紬塾へもしてきてくださるそうです。楽しみにしています。


左が桜、右が柿。匂いは桜のほうが強いです。細かくチップを作ってくれましたが、なるべく断面が大きくなるようにします。
少し太い枝の場合は樹皮と材を分けて使うこともあります。色相はかなり違います。
ところで足も面白い!^^


桜の鉄媒染。まだ濡れた状態ですので、乾くと色の濃度は半減します。洗濯ばさみはもう少し端にしてほしかったです。^^:
奥の糸は柿の無媒染2工程。半衿の写真はありませんが、古くなった半衿を染めたものもこんな感じに染まっていました。


こちらは桜のアルミ媒染。もう少し早い時期ですと黄色系になります。

身近な植物を観察したり、時に小枝で染をしてみると良いのではないでしょうか?
色もいいですが、煮出しの匂いもいいですよ。
自然の観察と気付き、創意工夫は生きる喜びです!


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