中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

小さき草の花――コロナの時代を生きるために

2020年04月26日 | コロナの時代を生きる



緯糸を干しに庭に出てみると、芝生の中にいつの間にか草々がかなり伸びていました。それぞれの小さな花を咲かせて懸命に生きようとしています。
思わずしゃがみ込んで見詰めてしまいました。
トップの花はタツナミソウ。波立つ形に似ています。若かりし頃、野草の寄せ植えを男性からプレゼントされたことがあり、その中の一種で、初めてその名を知りました。この花を見るたびに、ほろ苦き恋を思い出します。

子供のころから植物は好きでしたが、特に草の花が好きでした。大輪の花ももちろんよいのですが、東京の住宅地でも空き地や道端には雑草と呼ばれる草々はたくさんあります。買い物の道すがら、また散歩しながらでもいつも道端の草を見ています。しばし安らぎます。
小さな子供に草の名を教えてあげながら一緒に歩いたら楽しいでしょうね。。道端の草花を部屋の片隅に活けるのもいいですね。


分かりづらいですが、スズメノヤリ。上の方に茶色の花が咲いています。草の名も上手く付けられています。奥に見えている細長い葉はヒメヒオウギズイセン。夏にオレンジ色の花を付けます。


建物の際に生き場所を見つけたカタバミ。

アカカタバミは葉が少し赤茶色。

ハハコグサが並んで咲いています。

おなじみのタンポポ。
他にもオニタビラコ、キュウリグサ、ハコベ、カラスノエンドウ、スイバなど繁茂し始めてます。一応庭なので、、、草むしりの季節に入ります。(^-^;

TVもネットも明けても暮れても「コロナ、コロナ」で気持ちも滅入りますが、医療従事者の方々を始め、ライフラインに関わる様々な仕事をされている方のご苦労はいかばかりかと思います。せめて一般の者は外出を控え、感染しないよう最大限の努力をしなければいけないと思います。

政策も報道もなかなか不安を払拭してはくれません。。というか政策も疑問符多く、本当に不安になります。困難な時こそ動きをしっかり見ていきたいと思っています。

コロナ後の暮らし方を考えています。紬塾も再開は数か月後なのか、来年か再来年か、、。新たな道を模索します。

先日、国立環境研究所の五箇公一さんのビデオ「新型コロナウイルス発生の裏にある“自然からの警告”」を見ました。
17分ほどですが、とても早口で、難聴気味の私は聴き取りがかなり難しいのですが、、 キーワードが文字で表示されますので、大丈夫でした。。(^-^@
最後の方に「地産地消」、「Zoning」という言葉が出てきます。この考え方も今に始まったことではありませんが、この機会にもう一度考え直したいと思います。

経済が最優先され過ぎ、森を壊し過ぎ、大量にモノや人が行き交い過ぎ、プラごみを出し過ぎ、地球温暖化は進み過ぎました。野生の生き物は住処を奪われ人里へ下りて来ざるを得なくなりました。人との距離が保たれなくなりました。

私たちも海外製品を安価に、簡単に手に入れ、使い捨てる暮らしを当たり前のようにしてきました。このことも感染症と無縁ではありません。

自然と人との関係も、国と国との関係も人と人との関係も節度を持って、ゆるやかなつながりを大切にして、ほどよい距離感を保つことを大切にしていきたいです。それが深くつながることだと思います。

朝の雨現の証拠の小花にも

芽吹く木の騒騒と一山をなす

永劫と瞬時をここに滝しぶき

花の下ひとときという大事かな

振り返ること渾身に夏蚕かな


宇多喜代子句集『森へ』から自然を題材の句を選びました。



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メルケル首相のスピーチから――コロナの時代を生きるために

2020年04月14日 | コロナの時代を生きる


ドイツのメルケル首相が自宅隔離から4/3に復帰、その後テレビを通しての復活のスピーチ「“その後”は必ず訪れます」をクーリエ・ジャポンの4/9付けの記事で読みました。
前回(3/18)の国民への呼びかけと同様、心に響く内容でした。慈愛を感じます。感染者数は12万人以上で大変なことですが、医療崩壊は起こさず、致死率も日本より低く、また補償などもスムーズに行われ、最近の首相の支持率は64%に上がっているようです。

「私がみなさんにお約束できるのは、連邦政府を頼ってくださいということです。私も昼夜問わず、どうすればみなさんの健康を守りながら、元の生活を取り戻すことができるかを考えています」と。

連邦政府を信頼してくれと言い切れるリーダーは、国民を信じ、また国民から信頼されているということでしょう。
イースター休暇を前に、国民に語りかけたメルケル首相のスピーチから、特に共有できるところをピックアップしてみました。

「この2週間の自粛ルールを守りながらも、イースター中に散歩をすることはできるでしょう。ただ、それは同居する家族とのみ、あるいは家族以外の1人とのみ可能です。短くても1.5m、できれば2m間隔をつねに空けなければいけません。頻繁な手洗いも忘れないようにしましょう。ソーシャルディスタンスを保つことは最も効果的な予防法なのです。」

「マスクを着けていたとしても、ソーシャルディスタンスを保つことをつねに心がけてください。ウイルスに対するワクチンや治療薬がない限り、ソーシャルディスタンスを保つことは最も効果的な予防法なのです。」

「重症の方々を含め、まだみなさんに必要な治療をできる状態にあります。私たちは人間社会に生きています。数字ではなく、一人ひとりの尊厳が守られるべきです。」

「私たち国民全員が、このパンデミックからほぼ毎日学んでいます。科学者も、政治家も同じです。みなさんの忍耐に感謝します。」

「ルールを守り、人との接触を控えてできるだけ家にいるみなさんは、それだけで能動的にいいことをしているのです。この状況下で、どうしたらほかの人の力になれるかと考えを巡らせている人も同じです。」

ドイツ国民に呼びかけたこのスピーチをよく理解して、この困難な時を乗り越えたいと思います。

布マスク2枚(466億円の税金で)もツイッターで炎上したコラボ動画も、国にやってもらわなくとも、とりあえず不要不急です。。
国民は飛沫感染予防のための布マスクぐらいなら自分で調達できます。日本国民は幸いにも手仕事、布仕事は得意な方も多いですし、縫わずにバンダナを畳むだけでもできます。素敵な布、可愛い布、タオル、手拭い、ソックスなど、あるものでいろいろ工夫して作るぐらいの情報と感性はあります。信頼してください。

私は普段から一人、またはアシスタントとの仕事ですので、いつもと変わらず仕事をしています。人との接触は少なく、自宅兼工房ですので通勤もありません。
アシスタントは、近いとはいえ電車に乗りますので、現在は自宅で仕事をしてもらっています。二人でやらないとできない仕事もありますが、その時はマスク、距離を保つ、換気、お茶の時間は設けない(水分補給は各自で)、時短など、最大限の注意をしています。

紬塾の開催だけは延期を考えていますが、実際の糸や色や風合いを見てもらう内容ですので、テレワークともいかず、、、。
しかし、今しっかり感染拡大を防げば必ず収束に向かい、スタートできると思います。  
初回を6月に延期の予定。 4/19追記

免疫力を落とさないよう、食事の栄養バランス、睡眠、運動、笑い(*‘∀‘)を心がけ、元気に紬塾をスタートさせられるよう、その時を待ちましょう。コロナだけでなく、今は病気にかからないよう、ケガしないよう、病院にかからなくていいようお互いに気を付けましょう。私は歯医者にかかっていましたが、緊急的な痛みとかではないのでしばらくお休みにしています。

感染症関連の最新情報を集めながらも、一般の私たちに今できることは、人と人との直接的接触を避けること。政府の動きも複数の情報メディアを注視しなければなりません。結構時間とってます。。。(^-^;

そしてこの外出自粛の機会に、なぜこういう事態になったのか。今後もこういう感染の世界的流行がないとは言えません。その時にどうすればよいか備えておきたいですし、今考え、今までと同じ行動、同じ暮らしをすることはできないということを学ばなければ地球は、人類はもたないでしょう。
コロナの時代を迎えてしまった私たちがやるべきことを考えます。

メルケル首相の言う「元の暮らし」は自由や民主主義、自然との共生を大事にした暮らしと受け止めます。





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櫻工房の春と「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」—コロナの時代を生きるために

2020年04月01日 | コロナの時代を生きる

この日曜日は花と雪のコラボレーションを楽しませてもらいました。


庭の桜は5分咲きぐらいになっていましたが、花は雪の重みによく耐えていました。雪持ち桜です。

午前中から牡丹雪が降りだし、午後2時ごろには上がりましたが、これは花見と雪見が同時にできる!と夕方少し早目から酒の肴をいそいそ作り、(^^♪部屋の灯りは消し、雪明り、花明りで、ひと時コロナ禍を忘れて風情を楽しみました。


木瓜はこちらを見ている。。。


庭の木瓜やブルーベリーも花をつけています。ブルーベリーの花の蜜は本当においしいので、ヒヨドリがムシャムシャ食べる気持ちもわかります。でも今年は桜と同時に花を付けたことで、まだ食べられていません。(^^)/


ヒヨは桜が二分咲きの内からきて、蜜を吸うのに余念がないようです。部屋の中から撮ったのでわかりづらいですが、ヒヨ止まってます。。。


数日前には若芽を膨らませている柿の枝で染色をしていました。


糸や帯揚げを染めていました。
上の写真は真綿紬糸に鉄媒染をしているところ。


染めは煮染め後、火は消してからも、すぐに取り出しません。
留め釜といって、染液中の色素を吸収させています。温度が下がる時によく吸収します。糸染めの大事な工程です。


淡いピンクベージュと透明感のあるグレーを染めました。この時期は澄んだ色が染まるように思います。
淡々と日々仕事をするしかできませんが、作品をまたご覧頂ける日がくると思います。

さて、19日のNHKBS1スペシャル 「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」をご覧になった方もあるかもしれませんが、本日(4月1日午後9時から)再放送があるようです。私はNHKオンデマンドで購入して見ました。購入期限は2021年3月16日までです。

「我々に何ができるのか?3人の専門家が徹底的に語り合う」ということで、とても分かりやすく、こういう話を聴きたかった、、という内容でした。
総合TVでも夜中でない時間で放送してもらいたいです。特に、五箇公一さん(国立環境研究所)のお話は本当に同感です。

今回の新型コロナウイルスも森林破壊、自然破壊による地球温暖化、グローバル化の加速と関わりがあるようです。自分たちの過剰にしてきたことのツケが回ってくる。

国は「ウイルスに打ち勝つ!」とか、わけのわからない精神論を唱えている場合ではなく、自然との共生の道を世界中で今、探っていかなければもう地球は、人類は終わってしまう。

ただ、日本でも広がってしまった新型ウイルスに、今は感染しないよう、新薬の開発まで、爆発的感染にならないようにみんなで様々な感染予防対策、協力をする。
国民の健康と安全を真に思うなら、戦闘機より、感染症対策に、経済的救済補償に当ててもらいたい。

芸術、文化(着物も含め)などは真っ先に“不要不急”にされてしまいますが、アートも自然も一つのもので、人に必要不可欠のものです。私たちのやるべきことは、今の暮らし方を少し変えて、健康に安心して暮らせる地球になるよう、この機会によく考えなければならないことだと思います。

着物を織ることも着ることも自然と共になければ成り立たない。
紬塾の受講資格のところに「自然を大切にする方」を入れています。
自然の摂理に従い、地球温暖化を食い止められなければ着物を愉しむことも、作ることもできなくなります。環境問題も含めそういうことにも関心を寄せてほしいと思います。
人の許容量を超えたことは、何事に付け弊害が必ず起こる。

工房の桜も曇り空の中ですが、満開に近づいてきました。美しい桜に勇気づけられます。

さて、20年度の「紬きもの塾」のお申込みありがとうございました。
開催の延期の可能性も出てきましたが、またメールでご連絡します。
感染予防に努めながら、慎ましくも、一日一日を大切に過ごしていきましょう。
みなさんと一緒に学びあえる日を楽しみに今は仕事に集中しながら待ちます。










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