中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第6回紬きもの塾ー織物設計

2015年10月21日 | 紬塾 '13~'16


今回は織物設計を中心に講義しました。
画像の上部の白く見える糸はみなさんが紬いで白樫で白汚し程度に染た糸です。
このあと糊も生麩と布海苔で付けてもらいました。
糊を付け、糸の波状形を戻してありますのでふっくらチリチリ、力強いとても良い糸になりました。
着尺より太めの糸ですので1分に6本位入りそうです。
全長を織り幅で割り越し数を出していきます。
自分の糸はなるべく全部使い切ることも設計の条件に入れています。

カラフルな色糸は私が草木で染めた糸ですが、基本は自分の糸の形や風合いを生かす布を織ることですので、色糸を使う使わないは自由です。

“色”という素材を生かすことも難しいことで、何でも使えばいいというものではないと思います。
つい、どの色も綺麗で目を奪われがちですが、自分の糸と地糸の関係を見極めながら使えるようでしたら使ってください。


こちらは地糸としてベーシックな色の中から1~3種自由に選択してもらいます。

9寸幅で3寸の長さを織ってもらいます。
条件はみなさん一緒です。

小さいけれど奥行の感じられる布になるといいですね。
それが紬織りの醍醐味ですから。
来月の織り実習が楽しみですね。

心身共に整え、機と糸と向き合ってください。

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「紬の会」自然を着るー秋冬コレクションより ②

2015年10月15日 | 紬の会

11月初旬からの「紬の会」に向け、帯揚げも染めています。
玉ねぎ外皮、亜仙薬、茜などで染めたものです。
秋の澄んだ日差しの中でとても綺麗です。
写真技術があれば、オートではなくマニュアルで撮ればもう少し鮮やかさを再現できるのかもしれませんが残念です。。。



柿と桜の落ち葉を当ててみると・・・酷似しています。
自然の色は鮮やかさの中に灰味を含んでいて、いくら見ていても飽きないのです。

生きた色は太陽の光で見るのが一番です。
草木染めの着物や帯と調和します。
他にも秋の梨の枝で染めた深い秋冬ピンク系も染め上がっています。
帯揚げは脇役と思いがちですが、ときにはハッ!とするような使い方も良いと思います。
秋の装いのお供に加えていただけたらと思います。

「紬の会」詳細はこちらから。

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「紬の会―自然を着る」秋冬コレクションより ①

2015年10月10日 | 紬の会

工房の桜の木の木漏れ日が部屋の中まで差し込むようになってきました。
織り上がった桜染の帯2本をその午前中の光の中で撮影しました。
秋の光の中で糸も色も落ち着いた輝きを放っていました。


以前のブログにも書きましたが絹糸は断面が三角形のせいでしょyか、また節糸や真綿から紬いだ糸の毛羽のせいでしょうか、ガラスの粉を撒いたかのように表面が輝きます。
写真では伝えられないのですが、直射を糸の毛羽に当てると見えると思います。
特に糸の立体感を残した扱いをするとその兆候は大きいように思います。
歓声を上げてしまうほど本当に綺麗です。自然のなせる技です。


柿の木の紅葉の木漏れ日も美しいです。

若い頃には秋は肌寒くなり、日が暮れるのも早くてあまり好きではなかったのですが、歳のせいかだんだん寂しさも冬に向かっていく厳しさも受け入れられるようになってきました。

秋の豊かな実りを楽しみつつ一年の締めくくりを迎えたいと思います。

さて画像の吉野格子帯などを中心とした秋冬コレクションの「紬の会」を11月初旬から中旬にかけて行います。

会場は櫻工房ですが、11月2日、3日は駿河台の山の上ホテルでプレヴューも行います。
ぜひご覧ください。

詳細はHPをご覧下さい。
またブログでもお知らせいたします。





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第5回紬きもの塾ー白樫、梨の木で初秋を染める

2015年10月01日 | 紬塾 '13~'16
工房の萩も花はそろそろ終わりです。
本格的秋を前にしたこの日曜日に自分で紬いだ糸や古い半衿、帯揚げを白樫と梨の小枝で染める実習をしました。
いつもは七月の桜の枝、葉を使うことが多いのですが、今期は梨、白樫を使いました。

今年は9月下旬の染日程になりましたので、植物にも秋の変化が現れています。
植物の葉は黄色くなるのに枝から煮だす色素は全体的に赤みが強く感じられるようになります。黄色味が抜けていくのです。

もともと赤味の透明感のある色素が多い梨は一層赤みを増していくように思います。
灰汁媒染で秋のピンク、鉄媒染で赤味のグレーになります。
灰汁媒染中。このあと染液にもどして落ち着いたピンクを染めました。 
鉄媒染中。このあと染液に戻して赤みの薄グレーの帯揚げになりました。
白樫も春先は黄色味が強いベージュになりますが、ほのかに赤みの感じられる温かなベージュが染まります。みなさんが紬いだ糸は白樫の無媒染にしました。
染め上がった糸や布はすぐしまわずに、室内で2~3週間は空気酸化させます。
灰汁媒染の場合は特に色の変化も見られます。

さて、実習を受けた方から終了後に感想のメールをいただきました。
大事な所を掴んでくださったようですので一部ご紹介します。

「染めの実習では、全ての工程が理にかなっていて、無駄が無く、とても勉強になりました。
糸は、必要以上に触らないことが大切だとわかって良かったです。
触りすぎないということは、無駄のない動きにつながって、丁寧に扱うこと、火の入れ方など、素材への接し方の基本は、作るときに共通して大切なことでした。」

普段の私がしている仕事の細かなことまで、実際に植物に接し、ハサミの入れ方、糸の触れ方、水の扱い、火加減の調節、洗い方、干し方など体験してもらいました。

煮出しも「何分煮出すのですか?」とタイマーに頼るとそれだけになってしまいますが、火加減の調整や、蒸らし、植物を煮出すときの匂い、色味をよく観察します。

「料理をしているみたいですね」とか「梨はお芋の匂いがする!」などの発言もありました。

 
そして今期の方はラッキーにも!金木犀の花で作る塩香(しおか)を自分たちで作ってもらうお土産つきでした。
前日に満開状態の金木犀の剪定があり、その花だけを摘んでおいたのです。冷蔵庫で保管しておきました。

本当は空き瓶などがあるとよかったのですが、ラップに5ミリほど粗塩をしいてその上に金木犀の花をのせ、上からも粗塩を少しのせます。家に帰ってから何か密閉できる容器に移してもらい一年以上香りを楽しめます。

先日アーティストの栃木美保さんの塩香のワークショップで教えていただきました。
色は変わりますが匂いは発酵が加わるのか一年後もとても良い香りでした。
もう関東以西では花は終わってしまったと思いますがもしまだ残っている地域の方はぜひお試しください。

下の画像は先日のワークショップで作ってきたものです。
アロマオイルよりもっとソフトで塩香もとてもいいものだと思いました。
香りを“聴く”という感じです。嗅覚を磨くのも良いことですね。(^ω^)P


左が金木犀単品で、帰ってきて作ったもの。右はワークショップで作りました。
爽やかな香りにバラの甘さを少し加えたものです。

下から丁子、月桂樹、ラベンダー、グレープフルーツ、バラ、フジバカマです。
栃木さんが一年かけて集め、乾燥させてくださった香り素材を使わせてもらいました。

またかたち塾でもやれるといいなぁと思っています。(*゜▽゜*)




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