03年のアメリカ・メキシコ映画「カーサ・エスペランサ~赤ちゃんたちの家~」
生まれたての孤児を養子にむかえようとする六人のアメリカ人の女性を描いたドラマ、と聞いて期待していたのですが、ひどく裏切られました。
赤ん坊と母親との出会いを描いた感動作、を求めるつもりがなければ、そこそこ楽しめるのだろうけど、退屈でしかたがなかった。
南米の某国(とあるが、メキシコがモデルと思われる)へ旅立った米国人の女性六人組。彼女たちの目的は親のいない赤ん坊の養育施設から、養子に貰い受けようとすること。六人はおなじホテルに滞在するが、けっして仲がいいわけではない。
事務局からの認可がなかなか降りないために、苛立ちをつのらせていく。たがいのひみつに踏み込んで、母親になる資格はないと、ひそかに罵っていた。いっぽうで子どもができたら将来の教育方針は、などと青写真を描いてもいた。
メンバーは六者六様に、事情を抱えていた。
孤独を好むスキッパーは、流産と死産を経験している。
シングルマザー志望のレスリーは、同性愛疑惑がもたれて、陰口を叩かれている。
そのレスリーを激しく嫌悪するのが、なにかと不満をこぼす横柄なナンシー。、母親から折檻をうけたせいで、金持ちのくせに盗み癖がなおらない。
夫が失業中のアイリーンは、なにかと節約にご執心。
母子家庭で育ち温厚なゲールは、レスリーの味方をするが、アルコール依存症だった。
裕福だが若すぎるジェニファーは、電話で夫と口論になっていた。
と、この六人のうち誰がみごと赤ん坊を腕に抱けるかという結末がみものなのですが。
それはさておき、ただでさえこの六人の背景がいれちがいで挿入されてわかりづらいうえ。他にもよけいな登場人物がいます。
たとえば、最初はヒロインなのかと思わせたホテルのメイド。また、米国人のもてなしに内心舌を出しながら給仕してるホテルオーナー。
そしてまた、十五歳で妊娠してしまって生まれる前から我が子を施設に預けなさいと母親に責められる女性。
産めない者と産む者、との構図というべきですが。とちゅうで、経済大国の米国人女性が子どもを産まずに自分の国の赤子をさらいにくるのを批判する男たちも登場。
さらには、街にはストリートチルドレンが、溢れている。
それでも、この女性たちは、いちから育てられる赤子が欲しいのだと言い張っている。
アメリカ社会、女権社会への痛烈なアンチテーゼなんだろうなと、気づくわけです。
そのラスト、養子を手にしたのは意外なふたり。この結末をどうとらえるか、で変わってくると思うけど、私はその片方にはやぱり母親になってほしくないなあと思わざるをえない。
この女性たち六人は赤ん坊を、人生を変える道具か護符のように考えているわけですね。だから、赤ん坊の幸せを願う事務局側はしぶってきたわけです。
これって、ある意味、子どものいない女性に対する世間の風当たりの強さをほのめかしているものなんでしょうね。
と同時に、母親になる覚悟とは、というメッセージだったような。
個人的には養い親になる女性の人数をもっと絞り込んで、産む者と与えれる側との対比をもっと鮮明にしたほうがよかったような。
あの人数だと1クールぐらいのドラマにしないと、ひとりひとりを掘りさげるのは無理だと思われます。
女性が抱える事情を軽い設定の味つけのように扱われたような気がしてならなくて。
(〇九年六月十八日)
カーサ・エスペランサ~赤ちゃんたちの家~(2003) - goo 映画
生まれたての孤児を養子にむかえようとする六人のアメリカ人の女性を描いたドラマ、と聞いて期待していたのですが、ひどく裏切られました。
赤ん坊と母親との出会いを描いた感動作、を求めるつもりがなければ、そこそこ楽しめるのだろうけど、退屈でしかたがなかった。
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南米の某国(とあるが、メキシコがモデルと思われる)へ旅立った米国人の女性六人組。彼女たちの目的は親のいない赤ん坊の養育施設から、養子に貰い受けようとすること。六人はおなじホテルに滞在するが、けっして仲がいいわけではない。
事務局からの認可がなかなか降りないために、苛立ちをつのらせていく。たがいのひみつに踏み込んで、母親になる資格はないと、ひそかに罵っていた。いっぽうで子どもができたら将来の教育方針は、などと青写真を描いてもいた。
メンバーは六者六様に、事情を抱えていた。
孤独を好むスキッパーは、流産と死産を経験している。
シングルマザー志望のレスリーは、同性愛疑惑がもたれて、陰口を叩かれている。
そのレスリーを激しく嫌悪するのが、なにかと不満をこぼす横柄なナンシー。、母親から折檻をうけたせいで、金持ちのくせに盗み癖がなおらない。
夫が失業中のアイリーンは、なにかと節約にご執心。
母子家庭で育ち温厚なゲールは、レスリーの味方をするが、アルコール依存症だった。
裕福だが若すぎるジェニファーは、電話で夫と口論になっていた。
と、この六人のうち誰がみごと赤ん坊を腕に抱けるかという結末がみものなのですが。
それはさておき、ただでさえこの六人の背景がいれちがいで挿入されてわかりづらいうえ。他にもよけいな登場人物がいます。
たとえば、最初はヒロインなのかと思わせたホテルのメイド。また、米国人のもてなしに内心舌を出しながら給仕してるホテルオーナー。
そしてまた、十五歳で妊娠してしまって生まれる前から我が子を施設に預けなさいと母親に責められる女性。
産めない者と産む者、との構図というべきですが。とちゅうで、経済大国の米国人女性が子どもを産まずに自分の国の赤子をさらいにくるのを批判する男たちも登場。
さらには、街にはストリートチルドレンが、溢れている。
それでも、この女性たちは、いちから育てられる赤子が欲しいのだと言い張っている。
アメリカ社会、女権社会への痛烈なアンチテーゼなんだろうなと、気づくわけです。
そのラスト、養子を手にしたのは意外なふたり。この結末をどうとらえるか、で変わってくると思うけど、私はその片方にはやぱり母親になってほしくないなあと思わざるをえない。
この女性たち六人は赤ん坊を、人生を変える道具か護符のように考えているわけですね。だから、赤ん坊の幸せを願う事務局側はしぶってきたわけです。
これって、ある意味、子どものいない女性に対する世間の風当たりの強さをほのめかしているものなんでしょうね。
と同時に、母親になる覚悟とは、というメッセージだったような。
個人的には養い親になる女性の人数をもっと絞り込んで、産む者と与えれる側との対比をもっと鮮明にしたほうがよかったような。
あの人数だと1クールぐらいのドラマにしないと、ひとりひとりを掘りさげるのは無理だと思われます。
女性が抱える事情を軽い設定の味つけのように扱われたような気がしてならなくて。
(〇九年六月十八日)
カーサ・エスペランサ~赤ちゃんたちの家~(2003) - goo 映画