陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「プリティ・プリンセス」

2009-01-11 | 映画──社会派・青春・恋愛


映画「プリティ・プリンセス」は、〇一年作のディズニー映画。全米で一億ドルを突破した大ヒット作ですが、たしかにおもしろいです。
さえない女子高生のシンデレラ・ストーリー…なんですが、王子様を待ってなんて甘いラブストーリーじゃなくて(もちろんそういう要素もあるんですが)とにかくコメディ満載です。ミスター・ビーンなみに大笑い。「下妻物語」についで年明け二番目にテレビで笑わせていただきました。海外のコメディアンはわりと学歴のある方が多いそうですが、日本のお笑い芸人みたいに他人を叩いてあざ笑うような笑いや、単調なくりかえしのギャグばかりでないのがいいですよね。

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サンフランシスコのハイスクールに通う十五歳のミアは、眼鏡で容姿もさっぱりしない、あがり症の女の子。ロッククライミングとヨガが趣味で、前衛的な画風をもつペインターの母親とふたり暮らし。クラスでは虐められっ子ですが、親友リリー(この名前からしてアヤしすぎ(笑))やその兄マイケルとはなかよし。
そんな彼女の前にとつぜんあらわれた祖母が、平々凡々な彼女の日常を変えます。なんと、ミアはジェノビア王国(架空の国)の王女だったのです!!

各国の大使をまねいた王位継承お披露目舞踏会のために、お姫さま教育を施されるミア。このあたりの特訓とか当日のパーティーが、おさだまりの展開とはいえ笑えます。
しかし、このミア嬢、もともとドジっ娘でいく先々で騒動をおこしそうな人種なのですが、そんな彼女の出自がプレスに洩れたから、さあたいへん。学校には報道陣がつめかけ、いじめっ子たちは売名のためにてのひらを返したように親友きどり。仲のよかった親友リリーや淡い想いを寄せてくれたマイケルとは疎遠になったり。
学友の奸計でスキャンダルをマスコミに報じられたミアは、格式を重んじる祖母の女王に、ついには王位継承の放棄をいいわたされて…。

原作が世界的に著名な児童文学者の作品とあって、子ども向けのひねりのない明るい作風。人物も悪玉、善玉がはっきりしています。最後の舞踏会のあとのシーンは、とてもしゃれていますよね。
王族がプレスに追いかけられたりというのは英国王室を思い起こさせますが、ふつうありえないほど王の権威をとことん笑いものにするパターンは、まさに民主主義国家アメリカならではなのでしょう。

オーソドックスな女の子の成長譚といえるのですが、毅然とした女王であるけれども民衆のこころを掴む人間力がある祖母、芸術家肌の母親、外見はさえないが舌鋒するどい才女の親友、そして孫娘を心配する女王の意をくんで父親がわりをつとめる警護役のジョー、など魅力的な人物がいて、物語を深いものにしています。個人的には女王とジョーの因縁が気になりますね。

本作には「プリティー・プリンセス2」という続編があるそうで、機会があれば観てみたいところ。
みそっかすの少女からプリンセスに変身するアン・ハサウェイの大変身も見ものでしたが、『サウンド・オブ・ミュージック』の主演マリア役でも知られた美声の歌手にして名女優ジュリー・アンドリュースの気品あふれる淑女ぶりもいいですね。

(〇九年一月六日)

【画像】
ディエゴ・ベラスケス(b.1559 - d.1660)『ラス・メニーナス(官女たち)』(部分) 1656年、プラド美術館


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