陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1946)

2010-07-31 | 映画───サスペンス・ホラー
文月(ふみづき)も本日で終わりですから、郵便に関わる映画を探っていたら、こんなサスペンス映画が。
1946年の映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

なんとも意味深なタイトルですね。
レストランに雇われた青年と恋に落ちたオーナーの妻が、夫殺しを計画するサスペンス。これだけだと「白いドレスの女」などとと似た悪女ミステリー設定なのですが、筋書きがまったく違ってきます。後半からはすぐれた法廷サスペンスになっているのです。

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ハイウェイ沿いのレストランに雇われた流れ者の青年フランクは、店の主人の妻コーラに激しい愛情を抱く。夫のニックはけちんぼうで愛のない夫婦生活に疲れていたコーラは、たちまちフランクと本気になってしまう。
ふたりは邪魔なニックを消すために計画殺人を練る。だが、それは失敗し、フランクはいったんコーラの元を去った。

が、数週間後。フランクはニックに呼び戻されてコーラと再会。激しい恋情がふたたび湧き上がる。そして、ふたりはとうとう第二の計画を考えはじめた…。

その第二の計画は成功し、ニックを葬ってしまったフランクとコーラ。
しかし、地方検事のサケットに疑いを持たれ逮捕されてしまう。このあとの、ふたりの愛情を揺るがすようなサケットの罠、そして弁護士キーツの暗躍などがみごと。

はたして、共謀して殺人を犯したというふたりは、最後まで絆を保つことができるのか?
しかし、情欲のためとはいえ払った代償は大きく、ふたりはそれなりの報いを受けます。
「真実は二度目のベルで明らかになる」と拘置所でうっすらと涙を浮かべながら語ったフランクの顔が、なんともいえないですね。二度目の殺人容疑ではなく、一度目の殺人で立件されることを喜んでいる彼は、長年の怯えから解放されたという気持ちなのでしょう。

監督はタイ・ガーネット。
主演はコーラ役に、恵まれぬ少女時代を過ごしたスキャンダラスな女優ラナ・ターナー。
フランク役には、ジョン・ガーフィルド。

ビリー・ワイルダー監督作の「深夜の告白」の原作でも知られる、ジェームズ・M・ケインの同名ハードボイルド小説をもとにしています。

この作品はこれまでに四度映画化されていて、本作はその三作目。
初作の1939年版は、ピェール・シュナール監督作品で、タイトルは「最後の曲がり角」
二作目は、「家族の肖像」の監督ルキノ・ヴィスコンティ、主演マッシモ・ジロッティの1942年の同名のイタリア映画

そして四作目は、ボブ・ラフェルソン監督、ジャック・ニコルソン主演の1981年版の同名映画

ここで余談。
最近、ゆうパックの遅配がさんざん物議を醸し出していますが、うちもたまに郵便物のトラブルはあります。同じ苗字のご近所への誤送とか、留守じゃないのに声かけや電話がなかったせいで、間一髪の差で受け取れなかったりとか。インターホンがないから致し方ないんですけどね…。



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