映画「誰にでも秘密がある」

2004年の韓国映画「誰にでも秘密がある」は、タイトルからしてサスペンスの匂いがしますが、じつはひとりの男に翻弄される三人の姉妹を描くB級ラブコメディ。三人娘それぞれの視点から話を構成しなおしていく手法はなかなかおもしろかったのですが、最後のオチがいまいちかも。
以下、ネタバレあり。

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ハン家の三女クラブの歌姫ミヨンは、自由恋愛主義者。
言い寄ってくるピアニストの恋人サンイルを振ったばかりの彼女は、美男子でどこかミステリアスな雰囲気を持つ青年実業家スヒョンと知り合う。急速に恋に落ちて、ついには結婚を決めたふたり。

しかし、婚約発表のテーブルで浮かない顔をしていたのは、次姉のソニョン。
読書家で恋に疎い大学院生の彼女だったが、文学に造詣が深く、クラシック音楽に父の想い出語りをしたスヒョンに惹かれていた。
さらに、医師の夫との夫婦関係が冷めていた子持ちの主婦、長姉のジニョンまでもが、スヒョンの虜に。

ふたりの姉と男女の仲になったまま、ミヨンとの挙式を迎えるスヒョン。
よりによってフィアンセの姉と通じておきながら、まったく悪びれたところがありません。スヒョン演じる韓国の二枚目スター、イ・ビョンホンは「純愛中毒」でもみせた千両役者ぶりを発揮、三人の女性に対し彼女好みふうのタイプをつくろってアプローチしてきます。
しかもスヒョンは、恋愛相談にのってやったついでにミヨンの弟の彼女にまで手を出していたり。

ところが、式の直前となってスヒョンは、ミヨンから結婚を白紙に戻されます。ミヨンの心移りを知った姉たちはどうでるのか？ と修羅場を期待したもの、あっさり肩透かし。三人の娘も弟もそれぞれに良縁を得たり、元の鞘におさまってしまいます。
そして、三人の趣向をああもあっさり見抜いていたスヒョンの正体は…。

最後がファンタジーで締めていたので、一気に漫画ちっくなラブコメに堕してしまった気がしないでもないです。
しかし、韓国は儒教精神が行き渡っていてロコツな恋愛ものはご法度なのかと思っていたけれど、そうでもないんですね。
ただ、日本のラブストーリーを模した野暮ったさがあるにはあります。欧米人が日本のドラマを観たときもおそらくそう感じたのでしょうけれど。

いってしまえば、主演のイ・ビョンホンの魅力を堪能するための作品。
お相手役は、大ヒット韓流ドラマ「冬のソナタ」「天国の階段」のチェ・ジウ。イ・ビョンホンとは「美しき日々」ですでに共演しています。

（〇九年十二月三〇日）


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