映画「パンと裏通り」

映画「桜桃の味」でカンヌ映画祭パルムドール受賞監督のアッバス・キアロスタミのデビュー作。
1970年の作品。
「桜桃の味」とともに収録されたVHSで観賞しました。

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おつかいの帰り道、大きな恐そうな犬に遭遇した少年。狭い路次なので逃げ場がなく、吠えられて困ってしまうという、何げない日常を描いた短編ではありますが、かの黒澤明監督をもうならせたという一作でもあります。

少年が老人の後ろについていって犬を撒こうとする部分は、なにかの皮肉なのかも。
せっかく買ったパンを与えたら、一転、尻尾をふってなついてきた犬の変わり様。しかし、少年が家に逃げ込むと犬は食いはぐれてしまう。
ラストは、新たなターゲットを見つけたという暗示でしょうか。

か弱い子どもに噛みつこうと脅して、まんまと食べ物をせしめる。人を怖がらせて生きようとする犬は、武力で民衆を屈服させようとする軍事政権と似ていますね。
ユーモラスで包んでいますが、暴力に対する反感をこめたメッセージがあるような気がします。

モノクロフィルムで路次の長さをうまく捉えたショットが魅力。
冒頭には、編曲されたOb-La-Di, Ob-La-Daが、使用されています。


（〇九年八月十二日）

パンと裏通り(1970) - goo 映画