陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「イヴの総て」

2010-10-19 | 映画──社会派・青春・恋愛
1950年の映画「イヴの総て」は、ひとりの女優の駆け出しから成功までの道のりを描いた名作。華麗なる演劇界の裏側に潜む駆け引きを痛烈に批判したもの。

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万雷の拍手に迎えられて栄光の授賞式に出席したスター女優、イブ・ハリントン。壇上のその彼女を冷ややかに見つめる一座──女優イヴを見出し、育て上げ、そして裏切られた連中だった。

一年と満たない前のこと。
劇作家ロイド・リチャーズの妻カレンは親切心から、大女優マーゴ・チャニングに憧れる田舎娘イヴを、マーゴに紹介してやった。マーゴの付き人になったイヴは、持ち前の利発さを発揮。マーゴはその才能に恐れを抱きはじめる。
やがて、マーゴの恋人で演出家のビルを誘惑したり、カレンとマーゴの仲をこじらせ、また批評家ロウイッドにとりいって、まんまとマーゴへの酷評と自分への名声を手に入れることに成功。

このイヴというのが、さいしょはいかにも清純な娘なのですが、地位を手にするに従ってなんとも高慢ちきな女に変貌。同情を惹くためなら嘘も厭わない、他人の家庭をもぶち壊し、恩をあだで返すような鼻持ちならない女性へ。
が、しかし。自分の本性を知っておりその女優生命を左右する批評家に、イヴもまた牛耳られているにすぎない。そして最後には、かつてのイヴとおなじように、女優に憧れて近づこうとする少女のすがたが…。
天罰が下るのもそう近くない、ということを匂わせています。

出演は、マーゴ役にベティ・デイヴィス。イヴには、アン・バクスター。
端役ですが、あの若き日のマリリン・モンローが、新進女優役で登場しているのにもご注目。「お熱いのがお好き」でのはじけた役どころとは異なって、いかにもおぼこそうな娘でした。素顔のノーマ・ジーンその人を見た思いですね。

監督はジョセフ・L・マンキーウィッツ。
本作は、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞(批評家ドウィットを演じたジョージ・サンダース)、衣裳デザイン賞、録音賞など六部門受賞。
人気の衰えたハリウッド女優をあつかった同年作の「サンセット大通り」とアカデミー賞の対抗馬だったことは有名ですね。

なお、本作は「オール・アバウト・マイ・マザー」で、もと女優だった主人公が鑑賞する映画としても登場しています。

イヴの総て(1950) - goo 映画

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