陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ビッグ」

2009-12-23 | 映画──ファンタジー・コメディ
クリスマスが近いので、クリスマスを扱った映画を特集を組みたかったのですが、あんがいそれらしき映画をしっかり観ていないことに気がつきました(汗)
憶えがあるのは「ホームアローン」ぐらいかな。「ダイハード」もそうだっけ。

1988年作の映画「ビッグ」も、クリスマスシーズンの映画です。
「フォレスト・ガンプ」にせよ「アポロ13」にせよ、トム・ハンクス主演の映画はたいがいおもしろかったので、この人が主演というだけでたいがい観てしまう私です。しかし、これだけはハズレだったと思いました。
子供が大人になって大活躍するというストーリーなのですが、展開がことごとく読めてつまらない。当時はこのアイデアが受けたそうですが、そもそも子供が大人に変身できるようなアニメがあたりまえのようにある日本では、斬新さに欠けるように思われます。とってつけたような、ラブロマンスもありきたり。

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コンピュターゲームが好きな12歳のジョッシュ少年は、早く大人になりたいと思っている。
カーニバルの日、願いごとをかなえる機械ゾルダーに願掛けをしたところ、翌朝、30歳の大人になっていた。
親友のビリーに相談して、ゾルダーの行方を探すあいだ、当面は大人の振りをすることに。大手の玩具メーカーに就職した彼は、子供らしい奇抜なアイデアで社長のお目がねに叶い、重役待遇されてしまう。

さて、その後は、社内の美女でキャリアウーマンのスーザンと恋仲になったりとお決まりな恋愛コース。しかし、このスーザン、元は副社長のポールと付き合っていて、自分の出世のために男を乗り換えてきたような計算高い女性。ポールはといえば、社長からのごひいきも恋人も奪われた恨みで、ジョッシュに八つ当たり。
この構図、「ジョー・ブラックによろしく」でもあったので、面白味に欠ける。しかも、ジョッシュが子供らしい機転を利かしてポールをやりこめたりするわけでもなし。

けっきょく、最後は子供に帰ることを決意したジョッシュ。正体を打ち明けたのにその場では信じずに、土壇場になって追いかけてくるスーザンは、大人の女の悪い例のような気がします。十年後も待ってるというけれど、ほんとうだろうかと疑ってしまう。

子供時代のノスタルジーを楽しむだけにできた作品で、ひねりもなく、つまらないです。童心に帰りたい大人が楽しめるだけ。
「レナードの朝」のペニー・マーシャル監督作品とは思えない。
しかし、世評はかなりよく、トム・ハンクスの出世作といわれるほどヒットしたらしい。女性監督作品としてもメジャー作。

そして商品企画の仕事に携わった方ならお判りでしょうけど、あんな子供の思いつきのようなアイデアで、企画が通って商品化されるわけがないと思うのですが。市場調査で見えなかった子供の視点というのはわかるけどね、企画書書いたり、社内会議で調整したり、プレゼンしたり、材料や工法、コストの確認をしたりと、いろいろ複雑なことを考えなきゃいけない。
アイデアをもってます、ネタは豊富です、なんて誰でもいえます。コロンブスの卵といっしょ。でも、それをかたちにするのにどれだけの時間と労力が必要か、そういうのを知らない子供の空想物語にしか過ぎないですね。へたに現実味をもたせた設定だけに、アラが出ているとしか思えない。
とはいえ、最終的には主人公は、プレゼン能力のマズさがたたって、大人社会を去る決意を固めてしまうのですが。

それにしても、この映画のトム・ハンクスはかなり若い。しかし、いまでも童顔のせいか、老け顔が多いハリウッド俳優のなかでも若々しく感じますよね。
子役のほうが大人びていて、大人版の主人公のほうがよけい子供じみて見えます。ハンクスの演技力は、光るでしょう。

(〇九年八月二十日)

ビッグ(1988) - goo 映画


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