陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

賢い家づくりのポイント

2012-01-29 | 芸術・文化・科学・歴史



人生のうちで大きなお買い物といえば、やはり家。
私と同年代ですでに子供もいて、マイホームも建てている人もいます(羨望)。古くて歴史のある民家もいいけれど、新しくてきれいな家もいいですよね。憧れはするが、やはりない袖は振れないもの。だから、家を見るだけで楽しい。自分が美術のなかでも、とりわけ建築や彫刻など空間芸術に興味を惹かれてしまうのは、うちの親が一戸建てに憧れてモデルハウスの見学にいそしんでいたからかもしれません。お店に入ってもまず、メニューより室内の装備や動線が気になります。

R+house[アールプラスハウス]という住宅設計会社は、オーダーメイドなのに、コストをおさえる工夫をしているそうです。こちらの動画で紹介されていますが、そのコンセプトは四つのR。

ひとつめはRule(ル-ル)。
家のサイズはあらかじめ規定で決まっています。これによって依頼主は、コストのかかる部分のサイズを無駄に大きくせずにすみます。システムキッチンとか、ユニットバスとか、化粧台とか基本的に水回りが予算かさみそうですよね。

ふたつめはRoute(ルート)。
建具など必要な部材はすべて、メーカーから直接購入するルートを整備。カタログに掲載されたうち、よく用いられる部材のみを使用することで、価格を最大三〇パーセントオフしてもらっているそうです。よくスーパーなどである大量に仕入れて大量に売りさばく手法に似ているのかも。飲食店でもメニュー数を絞って料理の手間をはぶいていますよね。それとおなじ効率のよさ。でも、サイズも中身のパーツもあるていど規格のものだったら、どこに個性を出すのだろうと気になりますよね。

みっつめはaRte(アルテ)。arteとは、イタリア語で芸術のこと。芸術性、言い換えればデザインのことですね。
世界にたったひとつしかないオリジナル住宅を建てるにはどうしたらよいか。ここではアトリエデザイナーと呼ばれる建築家が、一棟しかないデザインを提案。つまりおなじ図面を使い回さないこと。依頼主との綿密なヒアリングを重ねていきます。いくら安くても建て売りの既製品ではどこか不自由が生じるもの。

最後はR値(性能基準値)。
こちらはやや専門用語になるので理解しづらいのですが、暮らしやすい住まいとは、気密性と断熱性にすぐれているもの。つまり家の部材の隙き間をなくして、冷暖房のロスをなくし、湿気を払う。高気密・高断熱で耐久性にすぐれた住宅をローコストで提供するのが課題。昨年の東日本大震災により、建築の需要が高まっているとのことですが、やはり気になるのはコストと安全性ですよね。

四つのコンセプトのうち、私がとくに気に入ったのは三番め。
建築家が施工主の住環境や趣味などどんな暮らしをしたいかを徹底的に洗い出して提案をすること。有名建築家がデザインしても使い勝手がひじょうに悪かったり、数年で雨漏りがひどくなったりという噂を聞きます。高いデザイン料だけしぼりとられて、建て逃げもいいところ。他人が住む空間を自分の表現欲のおもむくままに練り上げて、それをなにも知らぬクライアントに押しつけるというポストモダニズム建築家たちを、かねてからいいとは思いませんでした。「劇的ビフォーアフター」という番組で、エコロジストを標榜する建築家が屋上やベランダに池をつくったり緑の生垣をこしらえたりしているのも、鼻白んでいます。植物を屋上などに置くと、コンクリートなどを浸食し(コンクリというのはセメントを水で練って固めているだけのものなので)、いずれ水漏れや崩壊を引き起こします。空間を節約するために、高いロフトのベッドを幼い兄弟にあてがったり、階段を引き出し式の収納にしたり。図面はきれいに引けるけれど、実生活の経験を培っていないような、想像力と体感覚が欠如しているとしかいえないようなおかしなデザインもあるんです。だからこそ、客側であるわれわれのほうも、賢くならなければいけないのでしょう。高い買い物で損をしないために。


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