陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「陽はまた昇る」

2012-05-27 | 映画──社会派・青春・恋愛
1957年の映画「陽はまた昇る」は、言わずもがなアーネスト・ヘミングウェイの代表作。
しかし、大部なわりにはおもしろみがありませんでした。「武器よさらば」のような戦時中の緊迫感もなし。ただ、戦争でトラウマを抱えた新聞記者をふくむ男たちが、色女の貴婦人にもてあそばれるだけ。今のアニメでいうならば、逆ハーレムですね。

第一次世界大戦後のパリは、虚無感と歓楽に包まれていた。
米国人の新聞記者ジェイク・バーンズは、従軍看護婦としてお世話になった女性ブレット・アシュレイ夫人とプラトニックな恋愛を貫いている。
頽廃的な彼女の周囲にはつねに、複数の男の影がつきまとい、ブレットを恋人として迎えれないジェイクは内心穏やかではない。ジェイクの親友のロバートまで彼女に惚れ込む。

ジェイクが休暇でスペインへ旅行すると、ブレットが追ってくる。熱気と狂乱のうずまくスペインでも、ブレットは数々の男を魅了。しかし、若い闘牛士のロメロと恋に落ちてしまう…。
しかし、その恋も破綻して、ジェイクの元へ舞い戻ってきたブレットだった。

いわゆる”失われた世代”=戦争によって傷ついた世代の退廃や享楽主義を描いたものなんですが、その十数年もあとにすぐ第二次世界大戦を世界は迎えるわけですよね。後者のほうが心身ともに負荷は大きかったはず。
傷ついたといっても、めだった外傷もなく五体満足で、ただ性的不能というだけで落ち込んでいる主人公に、いらつきます。戦争映画としてすぐれたものなら他にありますけどね。
アメリカ映画が真に戦争の悲惨さをえぐり出すのは、朝鮮・ベトナム戦争になってからじゃないでしょうか。

そして、いちばん不愉快なのはこのヒロインのブレットですね。
精神的に頼っているのはジェイクなのに、快楽だけ求めて他の男を渡り歩く魔性の女。恋愛スキャンダルの数だけを誇って生きているような、顔はこぎれいだが個性も信条もない日本の女性タレントみたいで。


陽はまた昇る(1957) - goo 映画



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