陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ホワイトアウト」

2009-07-22 | 映画───サスペンス・ホラー
現在公開中の映画「アマルフィ」ヒット御礼と称して、「踊る大捜査線 THE MOVIE」
「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」につづき、TV放映されていた織田裕二主演、2000年作「ホワイトアウト」
原作は真保裕一の同名小説。
「ホワイトアウト」とは、激しいブリザードに襲われて視界が塞がれ、自分の位置がわからなくなってしまう現象のこと。


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主人公は、奥多摩にある雪深いダムの運転員、富樫。
彼の勤めるダムが、武装したテロリストに占拠された。ダムの運転員たちを人質にたてこもる犯人グループのリーダーは、政府に50億円を要求。拒否すれば、ダムが破壊され、東京の20万世帯が水没してしまう。

からくもテロリストの銃撃からのがれた富樫は、ひとり逃げおおせるが、テロリストへの闘いを決意する。彼を果敢に突き動かしていたのは、遭難救助活動中に二次遭難し、同僚の吉岡を死なせてしまった過去への後悔からだった。
折しも、人質のなかには吉岡の婚約者千晶もふくまれていた。

アクションシーンはもろ、「ダイハード」の模倣といえなくもないですが、なんといっても特筆すべきは、吹雪の山奥で敢行したロケーション。俳優陣の体当たり演技。日本でこれだけのスケールで描いたアクションドラマは、そうそうないでしょう。雪山といえば、すこしまえ、石原裕次郎23回忌を記念して映画「富士山頂」がテレビ放映されていましたが、こちらは厳しい冬山という緊迫感がまるきり欠けていてたいくつでした。富士山頂に気象観測所を設置すべく奮闘する男たちの話ですが、裕次郎主演の代表作「黒部の太陽」(今春に香取慎吾主演でテレビドラマとしてリメイクされた)と似ていますし、海の男を山の男に変えたというだけの感じ。新田次郎の原作小説なら、もっとよかったんだと思われますが。

原作小説のファンからは、人物造形の改変や心理描写の薄さに難があるとの声があがっていますが。
人質にされた千晶が、富樫を「逃げた男」だと、恨みがましく思っているあたりなんかは、唐突でもなんでもなく、読みこめると思います。じっさい、べたべたと人物の長ゼリフがあったら、あの大自然の脅威が台無しになりそう。おそらく、彼女は最後の警察署長の台詞「彼は今度こそ間に合った」に救われたのでしょう。

民間人であるはずの青年富樫が、ライフル銃の扱いにすぐ慣れたり、機転を利かして次々に犯人を葬っていく展開はいかにもご都合主義ではある(たぶんラストは雪崩を起こしてやっつけるんだろうな、とは思ってたけど)のですが。亡き友人との約束を果たして、雪原にしっかりとした足取りを刻みながら、ゆっくりと生還してきた彼のシーンは感動ではありました。

友人吉岡役の石黒賢と織田裕二との顔合わせは、ドラマ「振り返れば奴がいる」を思い起こさせますね。あちらでは、どろどろした医者の抗争を描いていましたが。

映画「アマルフィ」の紹介映像も番組ラストにありましたが、織田裕二が老けたというか、すこし病的に痩せているような気がします。

(〇九年七月二〇日)

WHITEOUT ホワイトアウト(2000) - goo 映画

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