陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「夏物語」

2011-08-13 | 映画──社会派・青春・恋愛
2006年の韓国映画「夏物語」は、40年近くにわたる男女の純愛を描いたラブストーリー。老年と青年の二世代を演じ分けているのはイ・ビョンホン。

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60歳を越えながらも独身のユン・ソギョン教授は、女子学生の人気者。
教え子でTVディレクターのスジンから、番組の企画で、初恋の人探しを手伝うと持ちかけられる。ソギョンは生涯にただ一度愛した女性にまつわる一冊の本を差し出して…。

軍事色の強い政権下の、1969年夏。
大学生だったソギョンは奉仕活動で訪れた農村で、図書館につとめる美しい娘イ・ジョンインと巡り会う。ジョンインは村ではどことなく浮きあがった存在。その理由は、今は村にいない彼女の両親にありました。文盲の多い村人に文字を読んでやったばかりにいざこざがあり、父親が残してくれた図書館も失ってしまいます。

二人が近づくエピソードは、「ニュー・シネマ・パラダイス」の有名な場面を想起させますね。

やがて居場所をうしなったジョンインは、ソギョンとともにソウルに旅立ちます。
しかし、学生運動の最中に二人が拘束されてしまい…。

二人の愛情を引き裂いたのは、当時の韓国における政治状況。
言い換えれば冷戦時代の波及とでもいうべきもの。お互いを愛し大事に想うがゆえに、悲しい嘘をつかねばならない。ジョンインを求めつづけるソギョンの情熱が実り再会を果たしますが…。

38年ぶりに向き合ったソギョンが知ったのは、ジョンインがいつまでも自分を想い続けていてくれたということでした。

悲恋ものラブストーリーとしては王道的な展開なのですが、日本ではあまり知られていないであろう韓国の時代状況を知る良作といえるでしょう。

エンディングが日本語だったのが驚きでした。
韓国のラブストーリーでしたら、韓流時代劇の印象があるせいか、もっと泥沼の愛憎劇かと予想していたのですが、かなりピュアなつくりとなっています。

監督はチョ・グンシク。
相手役はスエ。


(2011年6月30日)

夏物語 - goo 映画

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