陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「日の名残り」

2011-08-27 | 映画──社会派・青春・恋愛
メイドブーム、執事ブームがアニメのみならずトレンディドラマにも広がっている昨今。
そんな貴族趣味なお方にお勧めしたいのが、1993年の英国映画「日の名残り」
ただし、ここに出てくる執事、メイドはそれなりにお年を召した方々です。

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1938年、英国の名門貴族ダーリントン卿に仕える執事スティーヴンは、新しい女中頭にミス・ケントンを迎える。職務に忠実なあまり融通の利かないスティーヴンと、ケントンはしばしば衝突。だが、互いを理解しはじめてもいた。
主人のダーリントン卿の邸では、第二次大戦前にドイツ復興の手助けをするべく、会議が催されていた。この主人がナチスにならって反ユダヤ主義に傾いたことで、雇われていたユダヤ人女性が解雇。主人の命に忠実なスティーブンと、反対するケントンは激しく対立。
そして、スティーブンをライバル視していた使用人のプロポーズを、ケントンが受けたことから、ふたりの別れは決定的なものに。

物語はその二十年後、所有者の替わった邸にまだ仕えるスティーブンが、ケントンに連絡をとることからはじまる。もし、彼女が戻ってきてくれたら、スティーブンはあの日、素直になれなかった愛を告げるつもりだったのか。いや、おそらく過去と変わりなく、プライドの高い執事の顔で接しつづけるしかないでしょう。
二十年越しの思いだったとはいえ、けっきょく家庭を守ること、母であり祖母である道をえらんだケントンにも好感が持てます。そして、ほんとうは自分が求めているのに、職務のためと嘘ぶいてケントンの再就職を願うスティーブンもまたいじらしい。
これが安っぽいハリウッド映画でしたら、平気で不倫になったりするんですけどね(苦笑)

老境に入ったふたりの紳士淑女の恋路に、軍事国家の台頭を前にしての名門貴族の没落など歴史性をももりこんだ、格調高いドラマとなっております。

主演は「ジョー・ブラックをよろしく」「アトランティスのこころ」など、知性的な老人をやらせたら右に出るものはいないアンソニー・ホプキンス。
共演はエマ・トンプソン。
監督はジェームズ・アイヴォリー。
原作は、英国在住の日本人作家カズオ・イシグロ(石黒一雄)がTVドラマ用の脚本を改稿した同名小説。


日の名残り(1993) - goo 映画



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