陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「天井桟敷の人々」

2011-10-20 | 映画──社会派・青春・恋愛
本日の映画は1944年の「天井桟敷の人々」(原題:Les enfants du Paradis「楽園の子供たち」)
寺山修司の劇団名からこれを想起する人も少ないと思われますが、第二次大戦中、ナチ占領下のフランス映画界が総力を結集して完成させた世紀の傑作。
なお、私が観るのは二度目です。

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第一部「犯罪大通り」
1840年代ルイ・フィリップの治めるパリ。
「犯罪大通り」の異名をとる寄席や見世物小屋、劇場が並ぶ通りには、夢をみたさに人々が集っていた。貧しい者は天井桟敷にひしめきあって、芝居役者をはやしたてる。
無言劇の名手バチストは美貌の女芸人ギャランスの窮地を救って以来、お互い惹かれあうようになる。だが、バチストは内気で告白できず、ギャランスは誰の愛にもなびかないような手強い女。
ギャランスには、バチストと人気を二分する女たらしの喜劇役者フレデリック、そして風来坊の芝居作家ラスネールまでが懸想している。
ラスネールの奸計で殺人事件に巻き込まれたギャランスは、保身のために、求愛してきた伯爵のもとへ…。

第二部「白い男」
数年後、バチストは思いを寄せ一座の女優ナタリーと結婚、一児の父となっていた。フレデリックもまた俳優として成功するが、あのラスネールが近づいて金を無心にくる。
伯爵夫人となっていたギャランスのこころは、秘かにバチストに寄せられていた。お忍びで観劇に訪れたギャランスは、バチストと再会し…。

甘く、けれども悲しいラブロマンスなのですが、台詞がしゃれていて嫌みな感じがしない。
舞台裏で交わされる役者たちの日常劇も、そして劇中劇もぞんぶんにおもしろい。とくのバチストのパントマイムは見ものですね。
華やかな芸道の裏にある、巴里の下町の人情をさらりと描いてみせている、心に残る名作です。


監督はマルセル・カルネ。
主演は多情多恨の女性ギャランスに、アルレッティ。バチストに高名な俳優、演出家、劇団主宰者のジャン=ルイ・バロー。

(〇九年九月一日)

天井桟敷の人々(1944) - goo 映画


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