陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ティファニーで朝食を」

2015-12-15 | 映画──社会派・青春・恋愛
「ローマの休日」では初心なお姫さま、「おしゃれ泥棒」では素直になれないお嬢様を演じた、世界の恋人オードリー・ヘプバーンがまさかこんな役柄を演じたとは意外や意外。いや、もちろん彼女の美しさを損なわない役どころではありますが、このヒロイン、かなり酷いんです。
本日の映画は1961年の「ティファニーで朝食を」
タイトルからして、パリかイタリアを舞台にしたおしゃれな恋愛ものかと思っていたのですが、前掲二作よりも奇抜度がアップしています。

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ニューヨークのアパートに、名無しの猫と暮らす女性ホリー。
彼女は毎日、高級宝飾店ティファニーの店内を眺めながら、いつかここが似合う暮らしをしてみせると夢想している。魅力的なホリーの周囲には男性がたえず言い寄ってきて、彼女は彼らから貰うおこづかいで生活していた。
ある日、彼女の階下にポールという、売れない若手作家が引っ越してくる。都会ッ子らしい奇抜な性格のホリーに、生真面目なポール青年は惹かれていく。だが、ポールにはパトロンの夫人がいて、ホリーには何人もの男の影があった。

以下、ネタバレ。
じつはホリーは偽名で、田舎者で年の離れた夫がいたが、家出していた。再縁を申し込む夫を追いやって、ポールと相思相愛に。ポールはやっと新作が売れはじめ、パトロンの夫人とも縁切りしてホリーに求愛。ふたりはティファニーで甘いひとときを過ごす。
しかし、なんとホリーはブラジルの大富豪のもとへ嫁ごうとします。
けっきょく、ある事件に巻き込まれてご破算。
最後には、ポールのもとへ戻ることになるのですが、女性としてみてもこんなふしだらで不誠実な女性は腹立たしいです。ホリーが裕福さを求めるのは彼女の貧しさからきているのですが、同情できないですね。
好きな男の前で、他の男からいくら貰っただのを自慢したり。ポールにしたって、よく、こんな彼女を好きになったものだと思います。
男をネズミ呼ばわりしたのは、彼女自身が気ままな猫のような生き方しかできないからなんですが、下手に小悪魔にみえないだけによけいにタチが悪い。ブランド好きで男漁りしている、こういうタイプは好きになれないですね。資本主義国アメリカらしい映画です。
マンションの上の階に住む日本人写真家も、ひじょうに滑稽に描かれていますし、アメリカの日本への侮蔑が読みとれてしまいます。

にしても、オードリーはどうしてこんな役を承諾したのでしょう。悪女らしくもっとセクシーで気の利いた会話をするような美女のほうが合っている気がするのですが、この意外性がよかったのかも。

オードリーの相手役は、ジョージ・ペパード。
監督は、ブレイク・エドワーズ。
原作は、米国の小説家トルーマン・カポーティの同名小説。

(〇九年八月十三日)

ティファニーで朝食を(1961) - goo 映画

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