陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「リプリー」

2010-07-21 | 映画───サスペンス・ホラー
1999年の映画「リプリー」は、あのアラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」の原作者パトリシア・ハイスミスの同名小説の映画化。
ルネ・クレマン監督作の「太陽がいっぱい」とおなじく、金持ちの青年にとってかわらんとする貧しい青年の野望を描いたものですが、細部および結末が異なりますね。

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1958年のニューヨーク。
貧しい青年トム・リプリーは、バイト先の仕事で知り合った大富豪グリーンリーフ氏から、イタリアで放蕩三昧の息子ディッキーを連れ戻すように依頼される。
ナポリでディッキーに出会ったトムは、ジャズ好きの彼の趣味にあわせて取り入ろうとする。ディッキーには作家志望のマージという婚約者がいたが、トムはディッキーに愛情を感じはじめる。
だが、自分を邪見に扱いはじめたディッキーと言い争いになったトムは、船上で彼を撲殺してしまった…。

この後、ディッキーになりすまして手紙を出したり、ディッキーの友人フレディをも口封じのために始末すうところは「太陽がいっぱい」とおなじ。
ただし、トムが恋人にしようとするのはディッキーの婚約者女性ではない点に注意。ディッキーの名を騙って知り合ったご令嬢メレディスの付き添いだったピアノ奏者のピーターと、いい仲に。
しかし、最後まで自分の取り替え劇を完璧なものにするために、トムは彼までを手にかけようとする…そんな予兆で終わっています。

「太陽がいっぱい」のように夏の海らしいシーンはなく、むしろどんよりした空気が漂っている画調。
鏡の反影が、主人公の心理状態をよく映している、なかなか凝った演出ですね。

主演はトム・リプリーに、マット・デイモン。マージ役にグウィネス・パルトロウ。小悪魔的な魅力のある令嬢メレディスに、ケイト・ブランシェット。そして、ディッキーを演じたジュード・ロウは、「クロコダイルの涙」でもそうですが、異様な目力で観客を惹き付けてしまう俳優ですね。

作中でマージが言うように、ディッキーこそが本作の太陽のようなぎらついた輝きに満ちた存在といえます。むしろリプリーは陰気な感じがしますね。

監督は、「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ。

リプリー(1999) - goo 映画


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