陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

『マリア様がみてる─リトル ホラーズ─』

2009-08-24 | 感想・二次創作──マリア様がみてる
以前の予告記事で触れましたが、マリア様がみてるシリーズ最新刊『マリア様がみてる─リトルホラーズ─』のレヴューを今さらお届けします(遅)

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三年生になった祐巳・由乃・志摩子。薔薇の館は新メンバーを迎えます。
表紙からもわかるとおり、新入生の有馬菜々ちゃんですね。そして、なんと今巻では彼女が主人公だったりします。これは予想外でした。てっきり、二年生の瞳子か、乃梨子の視点だと思っていたので。
とはいえ、今回は短編集ですので、複数主人公制ともいえそうですね。

月刊コバルト誌面上に掲載された掌編をうまく折り込みながら、あいまに展開する本編「リトルホラーズ」ですが、これ一本でもかなりおもしろい。
姉の由乃を探すため薔薇の館を訪れた菜々だったが、見つからない。さんざん探しあぐねた末に祐巳と由乃をとある場所で発見するが、次々にメンバーがいなくなり、ついには菜々だけが取り残されてしまった…という、ほんのりミステリアスな内容。

五本のタペストリー風に編まれた掌編も、どこかしら謎めいたお話ばかり。
ちなみに私が好きなのは、「チナミさんと私」と「ワンペア」
前者は、ファンタジックめいていて、しかも緑の物体のキャラがおかしくて笑えます。
後者は、いささかサスペンスタッチで、短編のなかではいちばんボリュームがあります。最後はぐらかされてしまった感があるのですが…。
主人公が人気キャラではないため、自由に性格設定できるぶん、短編のほうが書きやすいのではと感じました。
私としては、お話が切り替わってたくさん読める短編のほうが、じつは好きだったりします。
いつものメンバーのドタバタ劇はけっこう飽きているので。
番外編のストックはまだあるらしいので、このパターンで出してもらえるとありがたい。好きな作品が名前を変えないまま存続してくれたほうが嬉しいですし。

なお、表紙に登場しなかった志摩子&乃梨子の挿絵は本文中にありますが、志摩子さんが意外なかっこうをしていたりするので、必見。瞳子が描かれなかったのが悔しい。

そして、今回の見どころはなんといっても、由乃のいない時に、菜々の姉に対する気持ちが明かされているところ。また祐巳の口を通してですが、由乃の本音も垣間見えたり。というか、由乃の気持ちをさらりと洩らしちゃう祐巳、もうすでに紅薔薇さまの貫禄じゅうぶんです。頼りない感じの頃がけっこう好きだったので、すこし寂しくもあったり。

今野先生からしてあとがきで指摘されてますが、二歳も年の差があって問題児の姉を、しっかり者の菜々はどう支えていくんでしょうね。

4thシーズンのDVDコレクターズエディションのひびき玲音先生の描き下ろしジャケット絵が、いつもの祐巳たちとは異なる雰囲気で、びっくりの管理人でした。




以下、余談。
いまブログに載せてる二次小説は、『リトルホラーズ』以前にあらまし完成させていたので、乃梨子の菜々に対する呼び方など、細かい設定が違います。




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