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陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「ハチ公物語」

2009-08-24 | 映画──社会派・青春・恋愛
リチャード・ギア主演の「HACHI 約束の犬」が話題になっていますが、その原点が1987年の映画「ハチ公物語」
いつかは忘れましたがテレビ放映していて観たことがあるような気がします。
帰らぬ人になったご主人さまを待ちつづけて、十年以上も駅の改札口前で座っていた犬の結末は知ってはいるものの、改めて観ますと、当時はわからなかったことがいろいろ見えてきますね。

我が子のように愛情を注いだ仲代達矢演じる大学教授と、死後も慕った犬の美しい物語ですが、その美談もハチを取り巻く運命の暗転のゆえ。
いちばん酷いのは、飼いたいと言い出したのに、できちゃった結婚で嫁いでハチを見捨てた娘。
葬式の日には、未亡人よりもハチの鳴き声のほうが悲しいですね。

生前、夫を犬に奪われると冗談めかして言っていた教授の妻。ハチを引き取らないくせに、老母のいる和歌山ではなんと柴犬の仔犬を二匹も買っていたり。
奥様の困り様を見かねてひきとったのに、夫が亡くなったとたん路頭に迷わせた夫人もしかり。

すごく人間のエゴをむきだしに描いているといえます。
当時は野良犬の駆逐もなかったので、放し飼いにしても当たり前という認識だったのでしょうけど。
ただ、保健所で処分にされなかった時代だけに、まだ幸せだったともいえるかもしれませんね。忠犬ハチ公の伝説は、主人を待ちつづけた十三年を支えた駅周辺の人びとの愛情だった、そう信じたい。

原作は新藤兼人、監督は神山征二郎

そういえば、ニュースで秋田のある町の名物行事である大文字焼きを、今年だけ「犬」にするかどうかで議論が割れたと報じられていましたね。けっきょく、八時台の数分間だけ「大」に点を加えることで落ち着いたらしいです。

ハチ公物語(1987) - goo 映画


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