日本映画「子ぎつねヘレン」

今年は丑年ですが、きつねの話題です。
かわいいきつねが見たいならこの映画、「あらいぐまラスカル」の実写版というべきでしょうか。
とにかく、主演のきつねちゃんが愛くるしい。逆にいえば、この映画のおいしいところはみんな、このきつねがもっていっていると。

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小学生の男の子、太一がひろったのは母親とはぐれたキタキツネの赤ん坊。居候先の獣医師（大沢たかお）に診せたところ、生まれつきの脳の損傷により眼と耳が不自由であることがわかります。太一は子ぎつねをヘレンと名づけ、餌をあたえ、母がわりとなって育てようとします。しかし、手術しても助かる見込みがないほど、病状が進行していく…。
少年と動物との交流を縦軸に、親子関係の修復を横に編んだドラマ。またあるいは障害者や身体機能のおとろえた老齢者への思慮と、命の大切さを訴えてもいます。

ただ、ヘレンが死んだ直後、獣医と太一の母親が冷静にながめているところは、そらぞらしいといいますか。
やはり、ただの動物の死、人間よりも死は重くないというとらえ方なのか。

おおきく感動したというわけではないですけれど、はぐれたきつねと、母親に棄てられも同然の身の上の少年をかさねるあたりは、育児放棄の親やペットを捨てる飼い主を揶揄したものでしょう。


ムツゴロウ王国の規模には負けるけれど、オウムやゴールデンリトリバーの動きがユーモラス。俳優人よりもいい演技していますね。劇中にながれた時間は正味、三週間ほどであったはずですが、少年の背ののびぐあいから察するに、けっこうな撮影機関をおいたと思われます。動物ドラマってたいへんですよね。
でもいくら獣医科大学だからって、キャンパス内をかってに犬連れて徘徊してもお咎めなしなのでしょうか（笑）

キタキツネって赤ん坊のときはたぬきみたいに黒いんですね。
全身がしろい北極キツネというのもいるそうで。


ところで、「天地人」のときも思ったんですけれど。女性声優があてがって台詞回しもたくみ、表情も豊かなアニメの子どもを見慣れていますと、実写の子役の演技がちゃっちくみえますよね。そのあどけなさのほうがリアルなんだけど、いかにも台本の言葉を失敗すまいすまいという、いっぱいいっぱいの表情がみえてしまって（笑）
でも、動物のかわいらしさはやりホンモノがいちばん。


そういえば、自民党がペット税を検討しているそうですが。
不法投棄をなくしたいなら罰則を強化すればいいのに。法律上はペットは物とおなじ扱いなので（だから映画でも少年が拾い物として交番に届けている）、税金がかけられるんですね。徴収された税金がほんとうに動物愛護のためだけに利用されるなら納得するでしょうけれどね、飼い主の皆さんは。早稲田大学のキャンパスに住んでる猫みたいに地域猫なんかはどうするんでしょうね。


（〇九年一月六日）

子ぎつねヘレン(2005) - goo 映画