「毘沙門天さまがみてる」
おはようでござる。おはようでござる。
さわやかな朝の挨拶が、白い吐息を発しながら、雪国の冬の空にこだまする。
毘沙門天さまの屋敷につどう若人が、寒さに顔を紅くして、本日も阿修羅のようなつくり笑顔で、山門をくぐりぬけていく。
手加減をしらない心身をつつむのは血と汗にまみれた漆黒の鎧かぶと。
袴のひだは皺にしないように、足袋の裏に米粒など踏んでおらぬように、脇差しはゆるまないように、髷は歪んだり寝ていたりしないように。
板ベリ廊下は摺り足ですばやく歩くのがここでのたしなみ。
もちろん主君の一大事に、牛歩の速度で馬にまたがり、のうのうと馳せ参じるたわけ者など、存在していようはずがない。
越後国上杉輝虎の居城、春日山城。
そこは、十年通えば、北斗七星にみちびかれた少年たちが、愛をとうとび義に献じ、兄弟の契りをかわす、北の学園。
───みたいな、第一回でした(嘘をつけ)
そういえば「マリみて」の主要キャラって大名の名前がおおいよね。
今年の大河ドラマ「天地人」、そのファーストオンパクトは。
なんか、これ、歴史物すきな女子が書きそうなラノベっぽいな、でした。じっさい、脚本家が女性なのですが。
とにかくすごく、設定が漫画っぽいとしかいいようがないです。
まず、あの登場人物の髪型。主人公の直江兼続や上杉景勝は桃山時代でも、月代(さかやき)剃ってないですし、稚児みたいに前髪垂らしてます、そのせいで威厳がありません。劇画(とくに女性が描く歴史もの)などでしたら、よくありますけど、れっきとした大河ドラマでこれってだいじょうぶ?総髪って浪人の証ですよね。
で、この第一回、桶狭間が終わったあたりの信長がでてきたのですが、彼はちゃんと頭剃っていました。だいたいのドラマだと、この頃の信長の頭はまだ、乱雑な結い方してるはずなんですが。これとは逆に、信長ライクなヘアスタイルしてらしたのが、のちの謙信こと輝虎でした。
女性陣もいままでのカツラにはない、妙に後れ毛がでてたり、古代人みたいに髪を二つ分けしてとちゅうを結んであるし。ほんとに、こんなひと、この時代にいたのでしょうか。
たしかに髪にバリエーションつけてくれたほうがわかりよいのですが。(「篤姫」の大奥の女性なんて、よく見ないと誰が誰かわかりずらかったですし)それって髪の色でキャラ分けするアニメと似てますよね。
あと輝虎が、日本刀ですっぱり丸太を斬ってましたが、あんなに斬れるものなんでしょうか?斧じゃあるまいし。
そこはかとなくただようBLの雰囲気。どうみても、「炎の蜃気楼」を意識したとしか思えません。
ぶっちゃけ兼続の子役が台詞はっきりしないし。影勝の少年時代の男児はいいんですけれど、あれが成人したら北村一輝みたいな悪魔顔になるなんて、よっぽど謙信パパになにかされてひねくれたのでしょう。(言いがかり)
妻夫木くん、顔が甘すぎて好きじゃないんですけれど。「愛」の一字をかかげたチョー恥ずかしいかぶり物が似合ってしまうのは聡くんぐらいですよね、アハハ。
ツッコミどころ満載で楽しめそうですね。
上杉謙信といえば、昨年のお正月ドラマスペシャル『天と地と』(レヴューはこちら)で主演したTOKIOの松岡くんがよかったですね。今回の阿部寛も期待できそう。
私も見ましたが、十分ぐらい見て嫌になりました。
ここ数年、NHKは女性の視聴者を意識してストーリーをつくっているのでしょうか?
勇ましい武将の一代記を見たいのは私だけでしょうか。
ごきげんよう、タツオさま。
辛口レヴューにコメントありがとうございます。
>私も見ましたが、十分ぐらい見て嫌になりました。
ふつう初回って一時間のはずですが、一時間十五分もありましたよね。それがたぶん冒頭の秀吉とのやりとり。たぶん直江兼続があまり知られていないために、その人柄の前見せとして用意したシーンなのでしょうけれど。どうせまた、くり返すんですよね。
どういう人格に育っていくかは、成長過程をとおして見せていけばいいと思いますが。
子役と成人後の配役とのギャップが大きすぎて。あと天下人の秀吉をだしたせいで、足軽時代の藤吉郎が老けてみえますし。
信長を魔王よばわりしたり(戦国武将ゲームの影響?)、謙信を神格化したり、秀吉を道化のような顔つきにさせたり、かなりキャラクターを戯画化してると思います。メリハリがついておもしろいけれど。
>ここ数年、NHKは女性の視聴者を意識してストーリーをつくっているのでしょうか?
トレンディドラマの俳優を主役に起用してますしね。
女性を意識したといえば、去年の篤姫がそうで、キャリアウーマンのはしりといえそうですね。
しかし、女性(しかもかなり若手)が脚本化したサムライものってかならずBLっぽくなるんですよね。『時宗』がそのケがありましたし(でも、好きだった(笑))
>勇ましい武将の一代記を見たいのは私だけでしょうか。
さいきんは戦国時代に材をとっても、武勲で名をあげたというより、政治交渉などに長けたことをすぐれての出世をよしとするドラマが多いですね。『利家とまつ』なんて、まんま現代のサラリーマン夫婦にあてはめてましたし。
平和な時代の象徴といえそうですが、昨年の秋葉原事件などの影響からかあまり血で血を洗うような殺伐としたシーンを省こうとしているのでは。あと、やはり女性にモテそうな軟派な顔を主人公にすると。でも、美男子だけど泣き虫の主人公ってどうなんですかねえ。
とりあえず井上脚本の平成仮面ライダーみたいなノリにならないことを祈るばかりです。
配役はすばらしいので、あとは脚本しだいでしょう。
意外ととちゅうから化けるかも?
ちなみに視聴率は去年よりはよかったそうです。