陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

世界フィギュアスケート選手権2012(四)

2012-04-02 | フィギュアスケート・スポーツ
前半のショートプログラムでは好調であっても、ひとつのねじが外れたかのようにフリーでは波乱が訪れてしまうのが、フィギュアスケートの怖いところ。逆にいいますと、思わぬ選手が急浮上してメダルをさらってしまうこともあるおもしろさがありますね。

世界選手権女子シングルのフリー。
公式練習から常時の本領を発揮できなかった浅田真央選手ですが、ひじょうに残念な結果になってしまいましたね。
勝負曲であったフランツ・リストの「愛の夢」も、夢を見ること叶わず。
冒頭は十八番のトリプルアクセルで調子をつけたいところが決まらず、その後のジャンプもシングルやダブルに抜けてしまうというミスが響いて、フリーは105.03点と厳しい評価、総合164.52点の六位に終わってしまいました。昨年の世界選手権と同じ成績なのですが、時期的に不安定になりやすいのかもしれませんよね。気持ちが指先にまで届かず、散逸してしまっている印象です。カチコチした部分は抜けているのですが、要素がぼやけている感じ。ジャンプで得点を稼ぎたいという戦略から焦りがあるのでしょうか。片足をあげてのスパイラルは、ひじょうに美しかったですね。次回に期待しましょう。

いっぽうSPでは二位と表彰台圏内だった村上佳菜子選手。
曲は、フェリックス・メンデルスゾーン 「ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64」。
前半部でジャンプをシングルにしてしまうミスがあったものの、後半には三回転連続ジャンプなどでかろうじてスコアを稼ぎ、フリー112.74点、トータル175.41点で五位にとどまっています。音楽に助けられて切れのいい演技ではあったのですが、緊張感に負けてしまったのか表情が固く、惜しいですね。

さて、今回の大活躍は遅咲き(と言ったら失礼なんですが)のシンデレラこと鈴木明子選手、SP五位からの挽回はすばらしいものがありました。
曲はヨハン・シュトラウス2世「こうもり」。
フリーでは121.30点で二位に、合計180.68点で、自身初となる銅メダルに輝きました。おめでとうございます。
今年はGPシリーズでの活躍目覚ましく、また、全日本であわや初制覇かとも騒がれましたが、惜しくも届かず。その悔しさを世界の舞台で晴らしました。この人は、国内よりも海外で好成績を残すことが多いですよね。音楽がアップテンポなのにも負けず、序盤からスピードのある展開運びで、観客の気持ちを掴むのが上手い。鈴木選手は、もう出だしのあの自信みなぎるスマイルからして、半分勝利のゆくえを握ってしまったといえるでしょうね。三人娘のなかでは、いちばん女王の風格がにじみ出ていたと感じるような。ジャンプした直後にどう花のある演技にもっていくかをよく考え抜かれた、魅せる舞台でしたね。


優勝したのはSP三位から逆転のカロリナ・コストナー選手。イタリアのベテランですが、世界制覇は初となります。SP首位だったロシアのアリーナ・レオノワ選手は準優勝に。


【参考サイト】
フィギュアスケートYoutube-動画Blog
スポーツナビ フィギュアスケート
フジテレビ 世界フィギュアスケート選手権特集


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