陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「極道の妻たち」

2016-09-28 | 映画──SF・アクション・戦争
1986年の映画「極道の妻(おんな)たち」は、その名のとおり、ヤクザの組長の妻を主人公にした仁侠映画。岩下志摩主演、原作は家田荘子(脇役で出演してもいる)のルポルタージュ。「ごくつま」と呼ばれているので「おんな」とルビを振るとは知りませんでした。もちろん18禁です。ご注意されますよう。

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服役中の組長の夫に代わり、粟津組を取り仕切る妻の粟津環。
関西一円を支配する本家筋の堂本組総長が急逝し、その妻絹江にも覚えがめでたい辣腕ぶりですが、跡目相続をめぐって不穏な動きが。環は二代目に忠誠を尽くすのですが、二代目に反発するグループ・朋竜会が独立し叛旗をひるがえします。

この環の実家では、零細規模の金物工場をいとなむ父、妹の真琴はスナックで働き家計を支えています。しかし、朋竜会の杉田に言い寄られたが運の尽き。極道の世界に足を踏み入れてしまい、姉と対立するようになるのですね。しかし、男くさいなかに紅一点でちやほやされる部活のマネージャー的なポジションとか、極道の妻たちの微妙な女の連帯感とかって、ものすごく奥様向けにツボを得ているとしか思えない(笑)きなくさい物語なんですけど、子煩悩なパパの組長とか笑えますね。男勝りなのに、意外に少女ちっくな洋趣味のヒロインのギャップも。

環と対立グループの小磯との話し合いによって全面抗争が避けられるはずが、曲がったことが嫌いで信条にまっすぐな若手の独り歩きがはじまり、双方に悲劇を生むことになります。

まあ、正直いいましてこういう世界には関わりあいたくないんですけれど。
主演の岩下志摩、妹役のかたせ梨乃、本家の姐さん役の藤間紫ら女優陣の美しいこと。きれいなだけでなくて、顔ひとつのアップですごい演技ができることに驚き。杉田訳の世良公則も声にドスが利いてハマり役です。若き日の竹内力も端役で出演かと思いきや、最後に意外な活躍を見せます。

実際の極道の奥様がたは鎖骨があんなに見えるぐらいに崩して着物きてらっしゃるんでしょうかね、というのがひとつ気になったこと。しかし、そういう着方でもだらしなく見えないのが、最近の歴史ファンタジーめいた時代劇とは異なっていそう。

そして、このトップが倒れたあとの派閥割れと不毛な権力争いって、まるきり今の政界そのものですよね。政治家にヤクザ顔多すぎ。堅気なのにふつうにヤクザっぽい人いますよね…。

岩下志摩主演シリーズは1998年版で終わり、現在は高島礼子主演の新シリーズで継続しているようです。

(2011年6月29日)

極道の妻(おんな)たち - goo 映画

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