陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「パニッシャー」

2009-07-25 | 映画──SF・アクション・戦争
筋書きは単純なのですが、妙に観終わったあとに清涼感が得られる映画と申しましょうか。
本日の映画は04年作の「パニッシャー」

裏稼業で莫大な富を築く資産家ハワード・セイント。警察もうかつに手出しはできない極悪マフィア。
そのセイントの次男が、FBIの囮捜査にひっかかり、射殺されてしまった。事件を担当したのはFBIの辣腕捜査官フランク・キャッスル。

しかし、そのことでハワード一家の恨みを買ってしまったフランクは、休暇中に愛する家族を惨たらしく殺されてしまう。銃弾に倒れるも奇跡的に一命をとりとめた彼は、自分の家族が殺されたことを知りながら、FBIがなんら捜査網を敷いてすらいないことに失望。
フランクは自身の名を捨てて、潜伏し、ハワード一家への復讐を誓うのだった。

とちゅう何度もハワード一家に付け狙われるのですが、みごとな頭脳戦と、好意的な仲間との連携によって敵を追い払ってしまうあたりは、脚本としてはできすぎかもしれない。けれど、フランクが身を寄せたアパートの同居人たちは、世間からすれば悪い眼で見下げられそうな人たちなのだけれど、凶悪なギャングの脅しにも屈せず、負傷のフランクを庇うあたりは、いささか胸が熱くなる。
彼女たちの言葉によって、自分の行為がただの復讐なのか、と決意がゆらぐフランク。しかし、法で裁けない極悪非道の犯罪者への制裁だと、気をとりなおす。彼の怒りはもはや自分の血縁を奪われた憎悪のみならず、短期間だが幸せだったアパートメントの住人との友情のためでもあった。

最後のハワードに鉄槌をくだすあたりは、いささかやりすぎじゃないかしら、とも思うのだけれど。車数台を爆発炎上させるシーンは圧巻。といいますか、最初はにっくき敵方が次々に悲惨な最期を迎えていくので、すこしかわいそうに思えてくるくらい。いくらなんでも、容赦なさすぎ(笑)ハリウッド版必殺仕事人みたいなものか。

しかし、フランクとて復讐に手を染めた己を恥じていないわけではなく、本懐を遂げたのちには自殺を考える。が、生きられなかった家族を思い出し、彼は新しい人生を模索するのだった。標題の「パニッシャー」というのは、じつは最後に彼が名乗るコードネームのようなもの。もしかしたら、これで続編がつくれそうな気がします、と思ったら、「パニッシャー: ウォー・ゾーン」という続きがあったようです。

ちなみに「パニッシャー」というのは、アメリカのコミックに登場するダーク・ヒーローのようで、バットマンと共演を果たしたりもしているようですね。

凄絶、熾烈な復讐劇のあいまに、フランクとアパートの仲間とで交わされる数少ない言葉、ちょっとこころが救われます。

フランク役には鮫との格闘を描いた「ディープ・ブルー」で主演したトム・ジェーン。そして対するハワード親分は、名優ジョン・トラボルタ。
監督は「アルマゲドン」の脚本を名をなしたジョナサン・ヘンズリーが初メガホンをとったもの。
89年にすでにオーストラリアで映画化されたものをリメイクしたようです。

パニッシャー(2004) - goo 映画

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