陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「博士の異常な愛情」

2011-08-03 | 映画──ファンタジー・コメディ
「2001年宇宙の旅」ともども、昔視聴した覚えがあるキューブリック作品のひとつ、1963年の映画「博士の異常な愛情」(原題:Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb )
正式名称は「博士の異常な愛情 / または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」

内容をすっかり失念していたがタイトルだけインパクトがある作品。
マッドサイエンティストがとんでもない研究を完成してしまうような印象があるが、じっさい作中狂っているのは、全員だろう。
そして、これはひょっとしたら当時危惧された事態でもあった。

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米国の戦略空軍基地。司令官リッパー将軍の副官マクドレーク大佐は、ソ連への水爆攻撃「R作戦」が下されたことに愕然とする。じつは、上司のリッパーが発狂して独断で行ったものだった。
いっぽう国防省の最高作戦室では、大統領と政府高官、軍部首脳が激論。ソ連には報復措置として、全世界を抹殺できるほどの威力がある核の自爆装置の存在が明らかにされる。この際、ソ連に先制攻撃をしかけるしかないと暴論を説く軍部を押さえ、大統領はソ連首相と電話で相談(いわゆるホットライン)。爆撃機の撃墜を依頼するが、一機だけが目標へ到達しようとしていた…。

表題は、この水爆の開発者ストレンジラブ博士の名を意訳したもの。
最近では、「または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」という副題が附されていることからわかりやすいが、要するに、いつ襲われるかわからない強盗に脅えて、銃を枕の下に隠しながら眠るような米ソの状況を皮肉ったものだろう。

けっきょく、投下は実行され、選ばれた人類のみを地下の炭坑に避難させるのがよいと説きはじめる博士。「ディープ・インパクト」など、その後の終末論的な映画でなんども応用されるノアの箱舟的な世界観。
しかし、選ばれるのは政府首脳や軍人が優先で、女性は生殖の道具だと言わんばかりの論調。

現実としては、80年代をもって東西冷戦時代は終わったものの、核の脅威はいまだ衰えず。この映画のもしもの設定が、いつまでも笑い飛ばせるままであってほしいもの…と思ったが、くしくも冗談ではない事態が今年の日本に生じてしまった。


博士の異常な愛情(1963) - goo 映画



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