陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

見れば楽しきペットボトルデザイン

2008-07-28 | 芸術・文化・科学・歴史
暑い季節がつづいています。
デスクトップの横には、つねに眠気さましのハッカ味のフリスクとペットボトル飲料が欠かせない管理人です。私はPC作業中はこぼすのが恐いので、缶ジュースは飲みません。そしてすさまじく吝嗇家なので(苦笑)、ペットボトルもつねに自前のお茶ですます人です。

最近のペットボトルって、デザインがことのほかおしゃれですね。昔は四角柱に近いかたちか筒形がメインだったのですが、いまや、いろんなフォルムが出回っています。コカ・コーラ社の爽健美茶や紅茶花伝シリーズはスタイリッシュな鼓形。ペプシなどは、昔のラムネ瓶を思わせるような、有機的なフォルムでかわいらしく手にとりやすくデフォルメされています。エコロジー意識ばやりで、ペットボトルも飲んだあとは水筒代わりにリサイクルされることを鑑みられたものなのでしょう。
安っぽいペットボトルのデザインを隠すために、ちんけなカヴァーをつけるのにもさようなら。カヴァーだって薄汚れてみっともなくなってしまいますから、定期的にペットボトルを買い替えたほうがお得なんです。

私は昔から光りものが好きで、とくに瓶類は集めてしまうのです。ひじょうに安く済むコレクションなんですが。いつなんどき、ホームレスになってもだいじょぶな趣味ですね(おいおい)
数年前、名古屋の芸大に講師として採用された先輩へのお祝い記念に、お酒をプレゼントしたことがあります。ブルーの三角錐がたのおもしろいデザインが気にいってお渡ししたのですが、お酒には一家言もつその先輩、瓶の見た目はよいが、中身はあまりよろしくない味であったとお小言を言われました。透明感のあるブルーですと、水っぽく感じたのだと。お酒類はやはり、黒か茶色の瓶がおいしく飲めそうですよね。

いまやペットボトルですら、ワインボトルのように高級感ただようデザイン。
じっさい、美しいデザインのペットボトルは、その瓶だけ欲しさのためになんども買ってしまうものなです。おしゃれなペットボトルをバッグから取り出したり、デスクの片隅に飾っておくのって気分がいいものなんですから。
もちろん外側だけでなく、中身の品質もレベルの高いものでないといけません。写真に撮った三種は、コカ・コーラ社とサントリー社の最近コレクションしているペットボトル。私のお気に入りはとくにまんなかのコカ・コーラ社のからだ巡り茶。そのネーミングといい、漢方薬のような野暮ったい表示を、六角形の筒という斬新なフォルムに配した意外性が、私のなかでは大ヒットです。サントリー社にせよ、美術文化事業に貢献している大企業は、安価な飲料・菓子類でさえもすごくパッケージのセンスがよいものです。

以前、キットカットの新しい味を考えるというブログ企画に応募したことがありますが(こちらの記事を参照)、二百円程度で買える菓子のはずなのに、贈答品としても進呈できるほどの高級感のあるデザインパッケージが出回っていて驚きです。こうしたつねにファンを飽きさせない美の追求こそが、商品のブランド力をいっそう高めているといえるのでしょう。

ちなみに、画像のペットボトルはすでに中身を飲んでしまいまして、アップルティーを詰めています。爽健美茶はなんだか水っぽい薄味でデザインにだまされた感がしますが、あとのふたつはとてもコクがあって飲みごこちのよいお茶でした。右端のザ・ジャスミンティーはほんらいとても香り高い味のする黄金色の透明感がうつくしい液体です。(飲み干す前に撮ろうと思ったのですが、休日中の暑さに耐えきれず、一時間で空になってしまいました(笑))

「いいウィスキーを開けたいために、いい一日にしようと思うことがある」
そんなサントリーの広告にあやかれば、いいお茶を開けると、いい一日を過ごしたと思えるといったところでしょうか。まずいお茶を飲んでいるというような、水も喉をとおらないような苦しい時期もありましたけれど。
こうした日常品のデザインを眺めるのはけっこう好きで、へたに高価なチケットを買って美術展に行くよりは、よほど勉強になりますよね。

コカ・コーラ社といえば、コーラ缶のように、赤というのが企業カラーになっています。ちなみにクリスマスのサンタクロースの衣裳が赤いのも、コカ・コーラ社の発案なのだそうです。サンタの扮装グッズには、赤だけではなく緑やゴールドも存在します。節分の恵方巻きもバレンタインデーもそうですが、日本の行事をつくったのは、じつは企業のセールスプロモーションのおかげなんですね。近年の企業のコンプライアンス違反だのなんだのと騒がれすぎて、商業主義というのはとかく忌み嫌われがちですが、価値ある文化をつくってきた組織には敬意をはらうべきでしょう。(でも、バレンタインは大キライ。義理でハートは送れませんもの)だれか個人のごきげんな、ないしは、ふきげんな感情の創作物としてではなく、万人にうけいれられて、ひろく流布するデザインが私は大好きです。

【関連記事】
「日本のパッケージ・デザイン#5:おしゃれなペットボトル!」(Ping Mag 〇七年十二月十七日)

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