醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「南の島に雪が降る」 (11月27日)

2006年06月19日 | 【ま行】タイトル
1961年、東宝。
もう泣きっぱなし。
この手の話にやかん、めっぽう弱いでござる。
衛生軍曹として従軍した俳優、加東大介の体験記を元にしています。
戦争末期のニューギニアの日本軍は補給を絶たれ、ジャングルに畑を作りながら絶望的な持久戦を続けていました。
士気の低下を憂慮した司令部は各部隊から舞台関係者を集め演劇部隊を作り、慰問公演をさせることにしました。
元芸人たちの歌や芝居に兵たちは熱狂し公演は大成功、演劇部隊はひっぱりだこになります。
久しぶりに見る芝居の楽しさにもまして、苦心して作られた舞台の書割や小道具に、兵たちは各々の故郷の面影を重ねていたのでした。
ある日司令官が演劇部隊に「舞台で雪を降らせてくれないか」と依頼してきます。
年中真夏の熱帯暮らしで、兵たちはみな雪を懐かしがるだろうから、と。
さて演劇当日――
「雪だぁ! 雪だぁ!」
大詰めの幕が上がったとたん、白いパラシュートを敷き詰めてつくった雪景色に大歓声を上げて喜ぶ兵たちの、日に焼け憔悴しきった顔、顔……。
やがて舞台の上に紙の雪がはらはらと降りかかると、劇場内はしんと静まり返りました……兵たちはひとり残らず声も無く泣き出していたのでした。
戦争という極限状態でのヒューマニティー。
人間の性善説を信じてみたくなる映画です。


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