醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「柳生一族の陰謀」

2009年10月16日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1978年、東映。
これは徳川“一家”の跡目争い、でござる。
三代目は長男家光か次男忠長か。
暗殺・謀略・カチコミありの江戸城版“仁義なき戦い”
特攻隊でもヤクザにみえる、帝国海軍でもヤクザにしかみえない、戦国時代でも江戸時代でも以下略、何をやってもヤクザテイストな東映――それほど「仁義なき戦い」が偉大だったということですかね。
おなじみの実録物のノリに萬屋錦之介が乱入して、なんとも不思議なカオス状態になりました。
錦之介の大仰なセリフ回しは、深作映画でもまったくブレず。
仁義なき江戸城にあって、彼ひとりだけ時代がかった大芝居。
時代劇スター錦之介の意地なのか、それともこういう趣向なのか興味のあるところでござる。
妙に重々しい錦之介と荒唐無稽史実無視のストーリー展開で観客をすっかり煙に巻く、これぞ東映新時代劇!なんでしょうかね?
やたらオールスターなのにどこかチープ感が漂うのはやっぱり東映でござるな。
たとえば錦之介と丹波哲郎の決闘なんですが――錦之介、移し身の術を使います。
頭から錦之介真っ二つ! と思いきや等身大の石像が真っ二つ。
石に刀がめり込んだ、ではなくあくまでスッパリ真っ二つになるのがすごい。
真ん中からぱったんと倒れる1/2石像、バカバカしくていいぞ。
チープといえばラストの生首もですが、あれもわざとなんでしょうか?
コンコロコロって床を転がるんですよ。
人間の頭なんですから、せめてスイカなみの重量感でもってゴンゴロリ、ぐらいにしますよね、ふつう。
血糊や人体切断大好き東映がわざわざなぜ?
秀忠毒殺で始まって着地点が家光のマネキン生首という、好き勝手やり放題な遊び心満載の娯楽大作。
成田三樹夫の白塗りお公家さんは必見!(なんと千葉ちゃんと互角の剣の使い手なのである)