長女の部屋は洋室で、当然のことにベッドで寝んでいる。時々私の蒲団に寝転んで「あー、畳って気持ちいい」と体を伸ばしたりするが、それでも(次女が使っていた)和室に移ることはしないから、やはりベッド馴れしているのだろう。私は洋室暮らしは全く苦手で、病院は仕方が無いが、旅行などでは、とにかく和室に泊まれることが第一条件だ。飲食に関しては旨ければいいわけで、国籍は問わないが、やはり中心は和食で、つまりステーキよりは刺身だ。しかし、酒だけは40年来のウィスキー党で、日本酒は寒いときに湯呑み半分の熱燗を愉しむ程度だ。ツマミは別にナッツ、チーズ、ハムなどでなくてもよく、いま(この原稿を書きながら)呑んでいるのは、サントリー角瓶の水割りで、横にあるのはモズクの酢の物と、サトイモの鶏ソボロ煮である。ウィスキーが好きなのは、香りがよいこともあるが(ビールなどのように)満腹感が来ないのがいい。食べながら呑むとき、私が最も避けたいのは満腹感であって、だから例えば私は寿司屋で握り鮨をつまみながら呑むということはない。 「最近は、和服の似合う女性が少なくなりましたね」と、某テレビで男性コメンテーターが(昔を懐かしむように)語っていたが、そうだろうか。 この人が言いたいのは、女性らしい楚々とした~というような意味なのかと思うが、その反対の不良っぽさ充分の、ザックリしたイメージの女性だって和服は似合うのだ。大事なのは、年齢がかもし出す色気で、成人の日に見かけるハタチの娘にはソレがないから、ちょっと気の毒な見かけになったりする。