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愛知県岡崎市在住
永続のページ管理人の個人日記

西水美恵子さんの講演会・・・中部経営塾

2012年10月20日 | 経営品質
中部経営塾の主催による西水美恵子さんの講演会に参加させていただきました。

今回の主題は『リーダーシップの実践』でした。


内容としては、「真のリーダーのお手本」であるブータンの前国王、雷龍王四世から学んだことを中心に語られました。



『人の世に不変なのは変化のみ』・・・『無常』ということ

◆◆ 教えの筆頭・・・『危機感を抱け』

不幸な国民が国を不安に陥れる。
国の安定のため、国民を幸せに導く。

故にインドと中国な挟まれた、小さな国の国家安全保障戦略として有名な国民総幸福量という考えはある。(GNHが脚光を浴びているが、錦の御旗的なものではないということ)

その国家戦略のため、国民の『心を聴く』が必要・・・リッスン トゥ ザ サイレンス

このため、熱帯からヒマラヤまで、国内全土を回った行幸の話がありました。
平地を車で行くのとはわけが違う、すごいものです。


◆◆ 教えの2・・・『本物のリーダーシップ=チーム精神』

世界の貧困解消が使命である世銀、その職員と原点を深いところで共有しようとして実施したのが『貧村体験』というプログラムです。

視察でなく、本当に住む体験を副総裁命令で実施し、まずは上司の立場の人間から実践させた。

行く前の抵抗をよそに、行ったあとの効果は抜群のようで、「正直で素直な会話ができるようになった。」と原点共有ができた効果を語られました。

横割組織の誕生です。
予算の取り合いをしていた各部署が、
「教育で命は救えない、水道に使ってくれ」
「水道は字を教えてくれない、教育に使ってくれ」
と、譲り合いが始まったそうです。

原点共有の結果、チーム精神が生まれたということです。
(チームとグループの違いを読むとハッとするものがあります。気になるかたは「あなたの中のリーダーへの118ページをご覧ください」)

私の結論:チーム精神の醸成には、原点共有をいかにするかがポイント


◆◆ 教えの3 ・・・ 『さかさまになりなさい』

逆ピラミッドを知っている方も多いと思います。
世銀で西水さんが得たものは、「透明なブドウの房」です。


本物のリーダーにはわるがない信念がある。
その例として『ブータン2020』の紹介がありました。
これは、私も読んでみたいです。

(英文なんです...(汗))




◆◆ 質疑応答に入って・・・リーダーシップの真髄 
 
『何をすべきかではなく、すべきことを心でどう捉えるか』

その違いが世の中を変えていく。このどう捉えるかがリーダーシップの真髄である。

それは、「人の痛みに、我が身を重ねる」ことであり、「人になりきること」

このためになされたことが、国王の行幸でありね世銀の貧村体験プログラムなのでしょう。


「国をつくるという仕事」220ページ「殺人魔」

「あなたの中のリーダーへ」25ページ「人の命にかかわること」

が参考になります。

電力事業を豊かさという贅沢に向けての社会基盤整備ではなく「人の命にかかわること」として捉える思慮の深さが必要です。この人の命の危機に我が身を重ねることがリーダーシップ真髄と説明されると、納得できます。


◆◆

・ネジの巻き方 →

 毎朝、鏡で自分の目を見て「本気なの?」と問う

・みんなの意見をどう調整するか →

 心を開いて、恐れを感じず、何でも言ってくれる雰囲気作りが必要。
 そして、それは、日常の環境づくりから始まる。

 硬直していたら、よそ物を入れる。

 そもそも、意見を集めるのではなく、意見から対話を始める。
 対話を始めると他の人も入ってくる。
 これを進めるると自然に核心に近づいてくる。

・問題の把握と見極めのためには →

 「情報」と「分析」
  
 だから、信頼できる報道が必要。


◆◆ 『日本が発展途上国になり下がっている』

・世界最低レベルの貧民が日本にはたくさんいる
・お金がないと、良い教育が受けられない
・お金がないと、よい医療が受けられない

言われてみれば...

衝撃的な言葉でした。

これに私の意見を加えれば、

現実の発展途上国では
・子供の夢は『学校へ行きたい』
・親は『子供を学校へ行かせたい』と命がけで川に橋をかける
など、上を向いてるのに、

日本は
・教育を受けられるのに、受けようとしない子供がたくさんいる。
・そうなるように大人が子供を追い込んでいる。
など、自ら下り道を探している

自戒の念が湧いてきました。


◆◆ 変化について

「西水さんが変化を感じたときは、どんなときですか?」

この答えは「いつもです。」

切り捨てるような表現なのですが、後の説明が深いです。

あるものを壊して、新しいものを作る。
それ以前に、今、どう変わっているか見極める。
いい方へ向かっているのか?逆か?
小さな良い変化を見つけると、応援者もみつかる。

という話がありました。...ということは...

「常に変化に気を配っているので、常に感じている」
という答えであったと理解しました。

(応援者については、良い変化と感じたものを見つめていると、関連するフィールドにその担い手として、必ず登場するということでしょうかね。)



冒頭の『人の世に不変なのは変化のみ』という言葉があって、この質問。
もっというと、
この質問、前夜にも別の方から同様の投げかけがあったのです。
お陰さまで、鈍い頭なりに、このように(勝手に)意味を見出しました。

世の無常を前提とするなら、『変化は今もおきている』
如何に良い変化を見つける育むか。これがポイントと感じました。


◆◆ エコノミスト視点

かまどの煙が殺人魔であることに気づき、
自分の免疫不全の病気が世銀病であることに気づく。
この背景にあるのが、西水さん得意の「エコノミスト」視点なのでしょう。

自分が「痛い」「辛い」思いをしたときに、

「これは、ここだけの話?」

「他はどう?」

「統計的にどうなの?」

ここに思いが至る、ナイプレーが数々。

通常、現場に現れないエコノミストが現場に現れた結果、生まれたのではないかと思います。西水さんを無理やり説得したボスのナイプレーですね。そして、エコノミストだけれど現場に行った西水さんのナイスプレー。(汗)


現場に経営者感覚を、経営者に現場感覚を、というよく聞くフレーズの持つ必要性を感じます。(あの伊那食さんをして今年のスローガンが「一人ひとりが経営者」ですからね)

多様な視点を持ちましょう。




◆◆ 残念な点

1.

西水さんの事を著書、講演などで知っている方が多い一方で知らない方々もたくさんいました。で、お話の対象をどちらに持っていくかという、誰の講演でも発生する課題があります。

今回はある程度知っている方にウエイトが行ったので、何も知らない私の友人数人は、「難しかった」「ピンとこなかった」「よくわからなかった」という感想がでてきています。

そもそも、
・世界銀行が何するところか?
・西水さんは世銀で何をしたのか?
そんな前提を共有をしておけたらよかったなぁと思いました。
ただのブータン国王の仲良しと思ってしまった人もいるかもしれませんね。(汗)

(前国王に、世銀やめていいけど、毎年ブータンには来なさいと言われるほどの信頼関係がどう構築されたのかとか聴きたいですよねぇ)

世銀の組織改革を果たし、その例として、ワークライフバランスとか男女差別の排除とかについて学ぶべき引き出しをたくさん持っている方なのですが。
(寝小便の話のとかは、とっても参考になるので、時間があったら良かったのですが。★3に抜粋あります)


2.

また、不可抗力ですが、心静かに集中して聴きたい場面で、名古屋まつりの御一行がにぎやかに外を通過していったので、台無しでしたね。講演の休憩中は静かで、「ここ」というところで次の御一行が登場するという感じで、間が悪かったですね。(汗)


3.

あと、『本気でビジョンを描く』その例として透明なブドウが出てきたのですが、結果だけの説明だったので、わかりにくかったですね。時間があれば、伊那のときのように、ビジョンを描くプロセスの詳細を聴けたのですが。(興味のある方はつたない文章ですが後述の★5を見てみてください。写真もあります。)


4.

質問も自社のリーダーシップの課題について質問すると、本領発揮となって、盛り上ったのですが、その時間がなくて残念です。(簡単にいうと、一人ひとり切られる時間)
経営塾の面々は、リンクスに移動しての懇親会で、みなさん討ち死にしたようですが(笑)


まあ、要するに、もっとじっくり聴きたかったという贅沢を言ってるだけです。(汗)


◆◆ 過去に西水さんのお話を聴いて書き綴ったことを振り返りました。


★1-2007年04月21日 雷龍王ってすごい。


★2-2011年05月31日 西水美恵子さんのお話

★3-西水美恵子さんのお話2

★4-西水美恵子さんのお話3

★5-西水美恵子さんのお話4





西水さん、中部経営塾の皆様その他、この学びの日を迎えるにあたり、尽力をいただいた方に感謝いたします。




本は、自称、火星人とおっしゃる通り、高い視野から物事をみている上に、言葉をとっても選んで文章を作っているので、日本人としても、日本語の文章を書く上で、とても参考になります。情景というかビジョンというかを脳のスクリーンに上手に映し出してくれる表現があちこちにあります。




あなたの中のリーダーへ
クリエーター情報なし
英治出版


国をつくるという仕事
クリエーター情報なし
英治出版

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