■金城町の石畳■ ある雨の日、番傘をさした朝薫はふらりと金城村の石畳を下っていた。 前だけを見て走ってきた朝薫の人生にゴールが見えてきた。 「雨が昔を思い出させるなんて知らなかったな。 琉球石灰岩でできた石畳は潤いの似合う小径だ。 雨の日はまるで海中都市を歩いているように錯覚させた。 緩やかに蛇行した坂道を下っていると、 傘に籠もる雨の私的な音が、 ある民家から質素な着物姿の女が主人と談笑している声が聞こえた。 たぶん、機織の腕を買われて士族の反物を織ったのだろう。 面をあげた女の顔に朝薫は息を呑む。 ――寧温! 傘も差さずに民家から出てきた真鶴を朝薫は呼び止めた。 朝薫は人目につかないように寧温を樋川へ誘った。 爽やかな苔の緑と清涼な泉は密やかな会話に聞き耳を立てている。 「日本に維新政府が誕生したのを朝薫兄さんはどう思いでしょうか?」 「どういう政権になるのか見当もつかないが、琉球に興味があるのは確かだ。 「いいえ。琉球は維新政府に利用されたのです。 「君は琉球が滅びてもかまわないのか?」 「民はたとえ国が滅びても生きていけるほど強いのです」 「テンペスト(下)」より 金城町の石畳。 すぐ近くに親戚がいるのでここは私にとって ちなみに、この民家はNHK「ちゅらさん」の主人公、
僕も歳をとったということか」
いちいち目の前の景色に驚かされる。
この情緒を独占しているかのように思わせた。
概ね薩摩よりも紳士的な扱いだ。利用する価値はある。
もしかしたら奄美だって返ってくるかもしれない」
日本は帝国を築く第一歩を琉球からと決めたのです」
那覇の史跡(?)の中で1番なじみのある場所です。
古波蔵家の外観に使われた屋敷です