憂太郎の教育Blog

教育に関する出来事を綴っています

山中伸之『できる教師のすごい習慣』

2009-01-09 22:51:40 | 教育書レビュー
 私が,年末からお正月にかけて読んでた本は,『できる教師のすごい習慣』(学陽書房)という本。
 いやあ,これは書名からして「すごい」なあ。書名から察するに「この本に書かれてある習慣を身に付ければ,あなたはできる教師になれますよ」ということでしょ。ということは,それらの習慣を披瀝しているこの著者こそが「できる教師」ということなわけだよね。それを,堂々と書名でいってるんだものね。私のような教師が手にする本じゃないよね。もう,私なんかはすっかり萎縮して,読むまえから,ははあ恐れ入りましたー,っていう感じになっちゃった。
 …なんて,私のようなオッサン教師ではなく,前途有望な若手教師をターゲットにしているから,こういう書名になったんだろうけど,それにしてもこんなタイトルをつける感覚が「すごい」よ。と,そんなイチャモンはともかくとして,せっかく買ったので,私も「できる教師」を目指そうと,がらにもなく謙虚な態度で読んだ。
 本のつくりとしては,いたってシンプルでとても読みやすかったです。最近の学陽書房は,この本にしろ前に紹介した大前暁政『若い教師の成功術』にしろ,教育書はわりといい作り方をしていると思いました。
 それはともかく,本の中身である。提案している内容の8割は,時間の生み出し方や情報整理といったいわゆる仕事術について。もちろん,教師の仕事術(それも公立小学校教師)に特化しているので,自分の今現在の仕事ぶりと比較することもできる。
 私も,十数年の教師生活の中で,人並みに仕事術の体得を試みたりした。そのなかには,実践したけど続かずに挫折したこともあるし,私なりの習慣として現在に至っているものもある。そのような自分の仕事術と比較してみて,できる教師とそうでない教師の違いがわかったりして興味深かった。
 本書から,いくつか時間を生み出すアイディアを拾ってみると…。
本書の最初には,「朝は5時前に起きる」というのがあった。これで時間を生み出そうというもの。このアイディア,皆さんいかがですか?
 著者は,こういいます。「本も読めるしテストの採点もできます。子どもの日記に赤ペンを入れることも,ちょっとした教材研究も可能です」。これで,私は尻込みしちゃった。朝早く起きて,散歩するならわかる。気持ちいいしね。けど,この人仕事するんだね。私は読んでて,ああ,もうだめ,という感じ。
 私の場合は,早く起きることは起きるけど,そこまで徹底していない。朝の打ち合わせの30分前に出勤して,校務にあてるというもの。時刻にして朝は6時少し前に起きて,7時30分に出勤というパターン。けど,これは普通の教師がやっていることなので,たいした習慣ではないでしょう。普通の習慣だね。私がもし5時に起きるとするなら,やっぱり散歩でしょうかね。けど,冬はまだ夜だしなあ,などと思うわけで,やっぱり思考回路からして違うんだよなあ。
 本書から,もうひとつくらい紹介しましょう。
 時間を生み出すアイディアとして「見たいテレビは録画する」というのがあった。さて,みなさんこれはどうですかね。録画するとCMは早送りできるので時間が短縮できるというんですけど,そうですかね。
 そもそも,テレビと仕事は実に悩ましい関係にあるかもしれませんね。
 私の場合は,家で校務は一切しないことに決めているので,終わらない仕事があって家に帰ってテレビが観られないときは,その番組とは縁がなかったと思ってあきらめることにしている。そもそも,録画ができるということが諸悪の根源というふうに考えているので,テレビの録画は一切しない。会合で家を出ているとか,家に居ても子どもにチャンネルを奪われるとかという場合も,録画して後で観ようとは考えない。そのときに観られなければ縁がなかったと思ってあきらめる。テレビなんて,教養番組などと銘打ったって,所詮すべては娯楽と考えれば,わざわざ録画してまで観ようとは思わない。
 そうでもしないと,今じゃあ,ケータイやPCでテレビが普通に観られるんだから,いよいよテレビに振りまわされることにもなりかねない。
 教師によっては,人気の番組を観ないと,生徒との会話や世の中の流行に疎くなると言う人もいるけれど,それはウソ。そんなもの観なくても,生徒との会話には絶対に困らない。それは単に,どんな番組なのかなあという自分の好奇心を隠す口実に過ぎない。
 ただ,番組によっては,授業の資料や道徳教材などで使えるものもあるかもしれない。
 そういう場合は,録画しながら観る。観ながら使えるかどうかを判断する。録画して後で観ようと思ってはいけない。なぜなら,録画して観て使えなかった場合,その時間が完全に無駄になるからである。
 それに私にはどうも,番組を教材にしようとする場合,録画して観る方が時間がかかるような気がするんだよなあ。絶対に巻き戻しや一時停止をして,教材として使えるかどうか吟味しちゃうと思うのだ。だったら,その場で流れているのを観ながら判断したほうが,効率がいいように思えるのだけどね。違うかなあ。
 さて,この本,ほかにもいろいろなアイディアが載っています。
 また,今度紹介してみましょうね。

山中伸之『できる教師のすごい習慣』(学陽書房,2008年)