○特集俳句613・きれきれ俳句1-7けり3・山本潔01・2023-03-31(金)
○「花種を蒔きて夕暮迎へけり」(『艸』2020)(山本潔01)
○季語(花種蒔く・仲春)(「→朔出版」より引用)【→特集俳句-索引1・索引2・検索3・検索4・検索5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:今日一日で行ったことは「花種を蒔いた」ことのみであった。その準備から後始末までをゆっくりと。夕暮を迎えるために。
○山本潔(やまもときよし)
○好きな一句「艸といふ艸を愛でゐて夏はじまる」(『艸』2020)02
○季語(夏はじまる・初夏)(引用同上)※「艸」:草類の総称。くさの並んで生え出るさまを表した字。草に同じ。
【Profile】:1960年埼玉県秩父市出身。「花暦」(→舘岡沙緻主宰)、「海程」(→金子兜太主宰)を経て、2020年「花暦」の後継誌として「艸」を創刊主宰。
○方法俳句613・オノマトペ86こそこそ1・落合美佐子01・2023-03-30(木)
○「耳掻の先のこそこそ木の芽晴」(落合美佐子01)
○季語(木の芽晴・晩春)(「『俳人年鑑』2004年版(北溟社)」より引用)【→方法俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:耳掻きは力加減がむずかしい。鼓膜などをいたわりながらおそるおそる耳掻きの先を動かす。それが「こそこそ」であろう。「木の芽晴(このめばれ)」の明るい窓辺で。
○落合美佐子(おちあいみさこ)
○好きな一句「恋猫となることもなく人を恋ふ」(『野菊晴』2019)02
○季語(恋猫・仲春)(「→俳句アトラス」より引用)
【Profile】:1938年埼玉県加須市出身。1957年「水明」入会。1964年「水明」退会。1977年「浮野」創刊と共に同人、編集に参加。1981年埼玉俳句賞受賞。1987年埼玉文芸賞準賞受賞。夫は「浮野」→落合水尾主宰。
○色彩俳句613・光沢4・鈴木正治01・2023-03-29(水)
○「妻癒えてひかる鍋釜三月過ぐ」(鈴木正治01)
○季語(三月・仲春)(「俳句201411」より引用)【→色彩俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:長患いの妻もようやく快方に向かった。これからしばらくは夫が台所に立つ。月日は三月から四月へと動いている。鍋や釜の光沢が春の陽光に眩しい。
○鈴木正治(すずきまさはる)
○好きな一句「雲裏に腐蝕の太陽ひまわり播く」02
○季語(ひまわり播く・晩春)(引用同上)
【Profile】:1925年福島県出身。→加藤楸邨に師事。「寒雷」同人。鉄道ペンクラブ賞受賞。福島県文化功労者表彰。「暖響」参加。
○五体俳句613・指25・横山香代子01・2023-03-28(火)
○「暗算の指動きたる春疾風」(横山香代子01)
○季語(春疾風・三春)(「→増殖する俳句歳時記」より引用)【→五体俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:暗算とは頭の中で計算することである。算盤や電卓を使っては暗算とはいえない。指も道具の類いといえなくもない。これは大きな動作で指を折って数えたのではないだろう。暗算につられて図らずも指が動いてしまった子供の動作かも知れない。
○横山香代子(よこやまかよこ)
○好きな一句「羊水のごとし螢を抱く闇は」02
○季語(螢・仲夏)(「『俳句年鑑』2017年版(角川書店)」より引用)
【Profile】:1968年静岡県出身浜松市出身。1996年静岡県俳句協会新人賞受賞。俳句結社「街」に所属し→今井聖に師事。2005年「人」により第7回俳句界賞受賞。
○五感俳句613・振動覚5・斎藤一骨01・2023-03-27(月)
○「行く雁や此岸の鍵の揺れどほし」(斎藤一骨01)
○季語(行く雁・仲春)(「→現代俳句データベース」より引用)【→五感俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:視覚での「振動覚」第5弾。揺れ止まない鍵束と上空には帰る雁。「此岸の鍵」がこの句の鍵であろう。実体として揺れる鍵束の背後には、重みを持たない「彼岸の鍵」の気配が感じられる。
○斎藤一骨(さいとういっこつ)
○好きな一句「紙風船蹴つて虚空のありにけり」02
○季語(紙風船・三春)(「→魂の一行詩」より引用)
【Profile】:1918年埼玉県出身。「河」に所属した。句集『沃土(2012)』は遺句集。