自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

「アベノミクス」の嘘と非知性的で不誠実な政治

2016-06-21 22:44:22 | 自然と人為

 ビジネスの世界を選んだのなら、ビジネスに専念してもらいたい。政治の世界を選んだのなら、誠実に民のために働いて欲しい。
 「経世済民」の経済なら政治と経済は重なるけれど、グローバル化した経済と政治が繋がり、大企業のための政治しか知らない政治家を家業として育った超利己主義の安倍首相は、「新しい判断」で「アベノミクスのエンジン」をさらにふかす」と「アベノミクス」は「格差拡大」政策にも係らず、トリクルダウンのおこぼれがそのうち滴のように民にも落ちてくると平気で嘘を言う。ひょっとしたら内閣も公明党も、「アベノミクス」が「格差拡大」政策であることを理解していないのかも知れない。

 「スティグリッツ氏の消費増税反対発言」はNHKを含めてメディアが大きく取り上げたが、これは政府がメディアを操作して、多分、消費税増税について質問して答えた部分だけを放送した「政府とメディアの茶番劇」であることが明らかにされている。スティグリッツ教授は日本の消費税について発言したのではなく世界経済について答えたもので、その会議の講演内容には消費税のことは触れていない。
 参考: スティグリッツ教授は消費増税の延期など提案していなかった(動画)

 スティグリッツ氏はトリクルダウンのことを「貧困層から富裕層へと富みは吸い上げられ、富裕層は貧困層に比べお金を使わない。これが全体の需要を押し下げ成長にブレーキをかケている。」 欲望の資本主義~ルールが変わる時(1) (4分52秒~5分5秒) と指摘している。「アベノミクス」こそ日本経済を停滞させているのだ。
 「スティグリッツ教授は消費税問題には触れず、『(アベノミクスの間違いを認めて)アベノミクスを停止し、経済政策を180度転換することによって、次のG7サミットで主導権を取るべきである』と安倍首相と官邸の側近たちに強く進言したのです。」 ブログ「伊勢志摩サミットが、一足飛びに安倍政権に晩秋をもたらす」より引用

 安倍首相はスティグリッツ教授の進言に従うことはなく、サミットの場をアベノミクス正当化の場に利用した。主要国のメディアは揃って、これを批判したが、「奇妙なのは日本のメディアで、この大失態を理由に安倍に退陣を迫る論調は湧き起こることはなかった。」

 ここで、G7サミット後の世耕弘成 官房副長官 記者会見(動画 49秒~1分49秒)【2016年5月31日】で、「野党側の内閣不信任の理由は、アベノミクスの失敗、格差拡大などを掲げているが、有効求人倍率が1.34倍、就業者数は安倍政権発足以降110万人近く増加、企業収益は昨年度過去最高でアベノミクスは失敗していない。野党側の不信任の理由は当たらない。」としていることを検証して見よう。

 2015年のG7経済成長率は0.457%でG7の最下位と停滞しており、有効求人倍率が高いのも、少子高齢化を原因とした人手不足を示している。雇用者数総計が106万人増加しているが、正規雇用者は32万人減少し、非正規雇用者が137万人増加している。企業収益は高くても、賃上げや設備投資へのトリクルダウンは見られず、景気の回復の兆しは見えていない。しかも、格差拡大の批判につては無視している。どうも「スティグリッツ氏の消費増税反対発言」放送も、G7サミットでの「リーマンショックの資料作成」も、今回の「アベノミクスの成功理由」も、官僚が作成したのではなく官邸の世耕ー電通ラインで仕組んだのではないかと思われるぐらい、大衆には分かり易いが非知性的でお粗末である。
 参考: 有効求人倍率は雇用の実態を反映していない ~安倍首相の自画自賛(その1)
  就業者数が100万人増えたというけれど ~安倍首相の自画自賛(その2)
  日本企業「最高益」の裏側、四半世紀伸びない売上高
  特集:景気回復のウソ エコノミスト 2015年11月17日号 企業収益 昨年度過去最高


 安倍政権は平成26年11月21日、消費増税延期・衆議院解散(アベノミクス解散)をした。そして今度は”新しい判断”で消費増税再延期動画 サンデーモーニング 2016.6.5)について参院選で国民の信を問うと言う。この安倍首相の「不誠実な幼児的凶暴性」動画「時事放談」2016.6.12)、舛添都知事の「不適切だが違法性はない」、東京電力の「炉心溶融と言わなかったのは官邸の指示」等の問題は、戦後政治が権力とメディアや法曹界が癒着して支配者と組織がともに公私混同し、倫理が麻痺してしまっていることを示している。

 政治を私物化しているのは舛添だけではない。戦後70年近くもこの国を支配してきた「自民党」に関係する議員は政治献金する業界と癒着し、単なる「政治とカネ」、(動画 サンデーモーニング 2016.6.5)の問題だけでなく、権力はメディアや法曹界とも癒着している。東京地検特捜部の元検事の弁護士が舛添に「不適切だが違法性がない」と第3者として弁護したのも、同じ弁護士が第3者委員会として東京電力が「炉心溶融と言わなかったのは官邸の指示」(2)と弁護したのも、そしてこのことを大きく報道して問題の本質を曖昧にしているのも、権力とメディアや法曹界の癒着の例と思う。

 今ではメディアも国会議員も当然のことのように「衆議院の解散権」を「首相の専権事項」としているが、これはGHQの支配下にあった吉田内閣において最初から意図的に「天皇の国事行為」を利用して実施されたものであり、反共の砦として日本を利用するためにGHQが戦争責任者の公職追放を解除したことで憲法に馴染まない政治家が増えたことも関係していると思われるが、吉田内閣が憲法7条を利用した抜き打ち解散が悪しき「首相の解散専権事項」の習慣となっている。吉田内閣が憲法第69条を形式的に使用した「馴れ合い解散」で衆議院を解散して以来、日本の政治は最初から憲法に書かれた趣旨からではなく、都合の良い解釈で憲法の運用を始めているのである。

 自民党から民主党に政権が移った時、人々は政治が変わると期待したが、長い自民党政権で出来上がった司法、立法、行政における組織と人間関係で根付いた政治が裏で現実を動かしていた。民主党政権下で東日本大震災の原発事故に見舞われたが、それを実質的に裏で対応していたのも、この癒着した古い人脈であったと思われる。東日本震災時、史上最悪の野党だった自民党という情報もあり、今になっての「東日本震災対応 民主政権を批判…自民が報告書(毎日新聞)」も参院選を前にしての情報戦、一種のプロパガンダであろう。同じ民主党政権下で発生した口蹄疫事件(2)に際しても、私はそのことを目撃した。

 現実の政治に近づけば近づくほど、制度は仮の棲家で組織と人間関係の癒着が裏で政治を動かしている。安倍首相はその古巣に帰った快適さを、さらに強固なものにしようと強引な幼児的凶暴性で謙虚さと誠実さを見失ってしまっている。「さあ、舛添の次は『安倍晋三』を国民主権の選挙で吊るし上げる番だ! 」、参院選に当たって「アベノミクスや舛添・甘利問題に誤魔化されるな国民」動画 サンデーモーニング 2016.6.12)。サンデーモーニング "風をよむ"は6月に入り参院選をテーマに次の通り放送されている。
 この国の分かれ道”参院選”2016/6/5
 参院選の”争点”2016/6/12
 7月10日 参院選投票日2016/6/19
 6月19日は何故かNHKの常連の岡本行夫氏が出演し、「日本だけは1回も変えていない世界最古の成文憲法」と発言している。「憲法のどこが問題でどう改正すべきかを言わない」ことが「不誠実な安倍首相」の問題なのに、「憲法は変えるべきで変えないことが問題」だと言う岡本氏も不誠実な人だと思った。「報道ステーション」は大丈夫なのか? 4月24日の岡本行夫氏出演めぐる意味というブログもあるが、「サンデーモーニング」も危なくなっているのかと心配にもなった。原発の問題については、「小出裕章参考人の全身全霊をかけた凄まじい原発批判」,(同文字おこし)がある。これこそ仕事や人生に誠実に生きる人の姿であろう。

 参考: 山本太郎氏 舛添知事騒動に陰謀説 政権与党がスピンコントロール
 【正論】山本太郎議員「舛添さんがこれだけ叩かれてるのに、どうして甘利さんは出てくるんですか?
 3.12に「炉心溶融」隠蔽したNHKの重大問題
 東電「第3者委」も依頼者の言い分で報告書 再び登場した「舛添の弁護士」
 安倍首相の独裁願望と衆院予算委員会会議録改竄
 原発メルトダウン 危機の88時間
 「炉心溶融ということば使うな」 当時の社長が指示 NHK 6月16日 18時21分


初稿 2016.6.21

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