自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

戦争は政治家の責任~平和を守る政治家を求めるのは国民の責任

2016-09-12 16:43:24 | 自然と人為

 最近はテレビ番組がつまらない。特にNHKは北朝鮮や中国の脅威ばかり報じて、まるで戦時中の大本営発表の「勝った、勝った!」を「危ない、危ない!」と言い換えているだけのようだ。国のことは政治に真面目な対応を求めたいが、これでは国民に強い日本の政治家を求めさせて、オスプレイ17機と関連装備、総額推定3600億円を購入することに誰も意義を唱えないだろう。そんな雰囲気さえも感じる。
 「国を守る」とは日本でもアメリカのように「産軍複合体を守る」ことに繋がってきたようだ。国民の間に「国を守る」雰囲気が大きくなることは、国に軍拡競争の税金の無駄遣いをさせ、その一方で国民支配が強くなることを忘れてはいけない。

参考:「指導者の経済感覚」(動画) サンデーモーニング "風をよむ" 2016/9/11

 北朝鮮が核やミサイル開発に熱心なのは、国土を汚染し国民を疲弊させて馬鹿げたことだが、国の支配者で居続けたい人々にはそれなりの対立の論理がある。その対立を信頼の方向に持っていくことそ国民に責任を持つ政治家の外交の義務である。中国や北朝鮮を非難しているだけでは政治家として何も仕事をせず、むしろ対立を煽るだけでは無責任で危ない行為だということも忘れてはいけない。

北朝鮮が軍事的に強硬な理由(動画:サンデーモーニング 2016/9/11)

 世界で一番国民を愛しているホセ・ムヒカ ウルグアイ前大統領は、次の通り語っている。
 「・・・世界中で毎分200万ドル(約2億円)が軍事費に使われています。1分毎に200万ドル、どうかしてますよね。」
  (それを他のことに回せば もっと豊かになれる。)
 「そうそう、その通り、その通り。多大な財産を捨てているのです。北朝鮮でミサイルを撃っているのを御覧なさい。その分、ジャガイモを植えればいいものを・・・。」

                「指導者の経済感覚」(動画)より引用
 日本はGDP(国内総生産)の1%が軍事費の目安にされ、日本の軍事費は世界5位である。現在(2015年)の世界の軍事費が年間170兆円、1年は365日×24時間×60分=52万5,600分なので、毎分3.24億円が国による殺人、破壊とその訓練のために使われていることになる。

 オバマ大統領は、「核の先制不使用宣言」を断念したそうだ。しかも、広島、長崎の被爆者の願いを無視して、安倍晋三首相は「核先制不使用」に反対の意向を米軍司令官に伝えたそうだ。日本は国連の核兵器禁止条約にも賛同していない。「人類を破滅させる核」を抑止力と考え、「核の先制不使用宣言」を断念すると、戦争の抑止力になるよりは北朝鮮をさらに刺激し、北朝鮮人民をさらに苦しめることになろう。抑止力の名目で国家的犯罪の戦争を準備するとは、外交能力に欠けたなんと愚かな政治であることよ。

 戦後の「公職追放」は戦争犯罪者が追放されたと思っていたが、戦後初の総選挙で第一党となった党首、鳩山一郎(1883年1月1日 - 1959年3月7日)もGHQにより公職追放され、吉田茂(1878年9月22日 - 1967年10月20日)が、戦後初代の総理大臣となり、それ以来、日本の政治はアメリカに従順に従う政府により統治され現代に至っている。

 特にA級戦犯容疑者の岸信介までが首相となり、今では3代目の安倍首相と麻生副総理が政権を握り、戦争への反省はないようだ。選挙を経て政権を握っていることは国民がそれを許していることになるが、米国追従の日本の政治に主体性はなく、国民支配の体質だけは北朝鮮と変わらなくなっているではないか。米国は世界の警察と言われているが、実は戦争の好きな産軍複合体が国を支配している。その米国に追従して岸信介は戦争への責任を免除され、その孫の世代は口先だけの「日本の美と伝統」で、米国に密着した右翼的言動が日の丸、国歌を強制していることは、日本の伝統を愛し、「里山は世界に誇れる日本の文化」だと誇りにしている私には『とても変な国、日本』になってしまったと思っている。
 日本は米国に従順に従う政府と、支配者に従順に従うことを美徳とし、支配者を批判することを嫌う伝統に育った国民が多い。高齢化と少子化により地方や町の共同体が崩壊しつつある日本は、他者を尊重することを忘れ、利己的に生きるようになると、これからどのような共同体を維持していくのだろうか。

 なお、日本の首相を2ヶ月余り経験して病に倒れた石橋湛山は、「指導者の経済感覚」を語る上で忘れられない人だ。経済も政治も他者を愛し、救うことが原点であることを彼も教えてくれる。彼は「平和・民権・自由主義を貫いた言論人」であり、政治家としては戦後の国家予算の3分の1を占めた進駐軍経費の負担額を2割削減させたが、これが嫌われGHQにより「公職追放」されている。
 GHQに押し付けられた憲法の改正を自民党は党是としているが、憲法を押し付けられたと言うなら、GHQに育てられ核兵器を戦力として積極的に肯定する自民党こそ解党することが、国民にとっては幸福と言えよう。
 参考: 昭和宰相列伝5 鳩山一郎、石橋湛山(1954-1957):動画
      その時歴史が動いた・石橋湛山①:動画
      その時歴史が動いた・石橋湛山②:動画
      その時歴史が動いた・石橋湛山③:動画
      湛山回想~松岡正剛の千夜千冊
      石橋湛山に対する公職追放に関する一考察
      リベラルの源泉・石橋湛山の言説
      「戦う石橋湛山」~読まずに戦争・軍備について書くべからず


 アメリカは15年前の9.11同時多発テロ以降、「国を守る」雰囲気が強くなったが、そのことで空港の検査体制が強化されたのはまだしも、産軍複合体を強くし、膨大な政治資金で動く政治に対する不満が、【米大統領選2016】での怒りとなり、民主党ではサンダース、共和党ではトランプの票につながったとされる。共和党のトランプは自分の金で大統領選を戦っていることを自慢する一方で、「強いアメリカ」を強調して人気を得ている。国民が他者を尊重せず、自己の強さを求めることは人類の未来にとってとても不幸なことだ。

初稿 2016.9.12

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