goo blog サービス終了のお知らせ 

「浦島説話」を読み解く

「浦島説話」の時代を生きた古代人の人間観を歴史学、考古学、民俗学、国文学、思想哲学、深層心理学といった諸観点から考える。

「宗教的な暗示」

2014-03-08 07:23:40 | 浦島説話研究
「浦島伝説は本来宗教的色彩の濃い伝説である。とすれば住吉というのには、単なる地名というよりも、宗教的な暗示を読み取るべきであり、具体的には住吉神社関係の伝承であったことを意味するのではなかろうかと思う」(重松明久 浦島子伝 p122 現代思潮新社 2006年オンデマンド版)

「浦島説話」を伝える始原の三書については、従来より、『風土記』系と『万葉集』系という二つの系統の説話が伝承されていたとみる考え方がある。というのは、前者に属する『日本書紀』と『丹後国風土記』「逸文」の二書の記述に対し、『万葉集』が伝える内容には大きな隔たりがみられるからである。そのなかで、「墨吉」(現在の大阪住吉の地に比定されている)という「地名」の問題も要素の一つとなっている。「浦島説話」については、両系の存在を受容するか否かという課題が今も残されている。
さきに引用した重松氏の見解にみえる「本来宗教的色彩の濃い伝説」「宗教的な暗示」といった表現に注意を払いたい。

浦島説話研究所