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本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 「夏目漱石全集 3 草枕 二百十日 野分」(ちくま文庫)

2024年02月25日 | ◇読んだ本の感想。
夏目漱石は好き。でも書簡集までを含めた全集をがっつり読んだことは多分ないので、
今回読んでみることにした。小説作品は読みやすいちくま文庫で、
それ以外は一番充実してそうな(しかし読みにくそうな)岩波の「底本漱石全集」で。
多分小説は若いころ、一通り読んだ気はするんだけどね。

「猫」や初期短編集は持ってるし繰り返し読んだし、「三四郎」「それから」は
好きで持ってるし、「明暗」はこないだ読んだし、
しかし「虞美人草」は持ってるけど一度しか読んでなくて内容を忘れたので読まずばなるまい。
けっこう長丁場になりそうですねえ。

今回読んだのは初期作品の後半にあたるくらいかな?
あんまり面白くない「草枕」「二百十日」「野分」。

まあ文学的にはまったく読めないわたしに言わせれば、この3作品は総じて
「試みの小説群」だね。
漱石には何か言いたいことがある。芸術論とか人生論とか「論」というべきもの。
それを言いたくて小説を書いてみたものの、論とストーリー部分のバランスが取れなくて
途中で止めちゃったんじゃないか。

それは特に「草枕」に顕著。
冒頭の文章は有名で、こういう警句的なところはいい。が、その後に続く部分は長いね。
ちょっと飽きるね。リズミカルな口吻と漂うユーモアはいいけれども、話が始まるまで長い。

けっこう丁寧にキャラクターを作っているし、ヒロインは面白くなりそうだったが
唐突に終わってしまった。打ち切りか打ち切られか。
この時代だから、「なんか面白くならんな」と自分で止めてしまった可能性もあるかも。


でもまあやっぱり夏目漱石は面白いよ。いろいろ言ってても、底にユーモアがある。
その人生を見てみると、ユーモアが韜晦で本来とても生真面目なんだろうと思うけどね。
ユーモラスでどこか切ない。漱石はなんというか、親しみと憐憫を感じる。




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