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◇ 北村薫「うた合わせ 北村薫の百人一首」

2024年03月04日 | ◇読んだ本の感想。
北村薫はとても好きな作家だったのだけど、近年は少し食傷気味。

実はこれ、いわゆる百人一首についてのエッセイだと思ったのよね。
国語の先生であった人だし、まあそんなに驚くようなことも書いてないだろうし、
さくさく読むつもりで借りた。

そうしたら現代短歌における私的「歌合せ」でした!

……そう言われればほんとにタイトル通りなんですけどね。
でも現代において百人一首と言えば、自動的に定家の小倉百人一首を指すという
暗黙の了解があるじゃないですか。そこがわかるタイトルをつけてほしかった。
まあ売り上げを多少左右するかもしれないが。


短歌は好きで、現代短歌も昔ちょこっと読んだけど、所収のほとんどは初見。
多分3首くらいしか知らない。多分その頃よりももっと新しいものから採ってる。
総じていい歌だろうと思うが、自分に響くものはほぼなかった。

これは不公平な言い方だが、北村薫は本人に文学的に読む力量があるから、
わたしにはちょっと高尚すぎるのよね。添えられたエッセイもある程度文学的。
まあアンソロジーなんて好みに合うか合わないかの話、しかも短歌となると
その傾向は一層強い。

この人は歌合せなんて高度なことをせずに、短歌を初めて読むような層に向けて、
入門編のようなものを編んでくれないかね?
「詩歌のまちぶせ」なんかもそうだけれども、もうちょっと文学的に手加減をしてほしい。
入り口のハードルを下げて、結果的に短歌を読むような人がわずかでも増えたらと思う。
この人しか出来ないことだと思うんだが。







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