プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< セクシー田中さん >

2024年04月08日 | ドラマ。
去年10月期のドラマを3月5日に見終わり、感想を書く。
この感想をあげるのは4月でしょうかねー……。半年かかるわ。

まず純粋にドラマとしての評価。



とても面白かった。

始まる前は恋愛コメディかー、大丈夫だろうかという気分があったのだが。
でも主役が木南晴夏だから一応見ようと。

木南晴夏は好き。初めて見たのは「勇者ヨシヒコ」で、口の悪いヤンキーな魔法使いの役。
ヤンキー的な役柄は基本好きじゃないが、それを体当たりで演じている姿勢が良かった。
それで親しみを持って。その後、ちょこちょこ見るようになって。
脇でもいい味を出すし、いい女優だなと思って見ていた。

なんと「セミオトコ」でさえ見たんですからね!
あれは話はグダグダだったが、山田涼介も好きだし、今田美桜も発見したし、
阿川佐和子と檀ふみの共演も見られたし、今となってはいい思い出のドラマ。

そしたら、今作、ベリーダンス上手かったですねえ!
この話はベリーダンスを踊る田中さんに絶大な魅力がなければ、全く説得力がなくなる。
そこのハードルは非常に高かったと思うのだが……木南晴夏はそこを超えましたねえ。
えらい。

それは安田顕にもいえて、あの何だかっていう太鼓(名前は覚えられない)をある程度
こなれた感じに叩くのはえらい。けっこう練習を積んだんだろうな。

役者たちはみんながんばった。出来れば高橋メアリージュンもがんばって踊って欲しかった。
まあ先生という役柄だから、そうそうそこまでのレベルに行くのは難しいだろうけど。
高橋メアリージュンと中村アンは出てくるとちょっとうれしい役者。

安田顕の色っぽさも驚愕でした。通常はもっと痩せててむしろイケオジの反対の役柄が
多い気がするが、イケオジもイケナイオジも自由自在なんですねえ。さすが役者。
というか、いい役者。心の栄養でした。

初めて見たけど、生見愛瑠という人が可愛かったですね。
可愛いだけ、かっこいいだけと感じる若手も多い昨今、……可愛いだけに特化しても
十分に見ていられるビジュアルだった。といっても別に演技が悪かったわけではない。
とにかく田中さん大好きという点が素直に表現出来てて、気持ちよかった。
ここもドラマの要だったからこの人で良かったですね。キャスティングお手柄。

毎熊克哉。という人はわたしは初見。多分出ている映画・ドラマを見たことがないと思う。
顔のタイプはあんまり好きじゃないなあと思いながら見ていたが、
なかなかいい演技でしたね。まあ「こじらせ男子」の部分は不自然に感じたが。
そこにまで説得力が出せるのが「いい役者」でしょうね。

前田公輝は何回かちらっと見て、すこーし気になる役者ではあるのよね。
そんなにいい役で見たわけではないんだけど。今回はいい役。
ちゃらくて、でも実はいい奴で、最後には一途。
見てて楽しかった。もっとシリアスな役で一度見てみたい気がする。

川村壱馬なる人は顔が好み。メガネ込みで好み。メガネがないとただのイケメンかもしれん。
ただしEXILEと知ると「EXILEか……」と思ってしまう部分もある。

愛子先生は未唯でしたか!全然わからなかったが、最後に知って感慨深い。
いい配役だったと思います。
実際に安田顕の年齢だとピンクレディに憧れたかもしれない。

あとは、来ましたね、市毛良枝!久々でした。お元気そうで何よりです。
笙野はまさかの仙台出身設定。突然そんなことを言い出したので咳き込んだ。
でも市毛良枝はロケにまでは来なかったんですね。まあヨイ。問題なし。



嫌だったところは一点――ありがちなんだけど、会社の人があまりにも馬鹿に、
あるいは無神経に描かれていること。
そんなにあからさまに他人を揶揄する人はめったにいないんじゃないか。
たしかに田中さんからは周囲の人がイジワルで自分のことを笑ってるように思えた
のかもしれないけど、あからさまに悪口をいうほど頭の悪い人はそうそういないでしょう。

あ、一点じゃないな。
最後はちょっと無理があるわなー。友達のために留学先から帰ってくるならありだけど、
朱里の親友だからといって、その余興のために高額な航空機代を払って戻ってくるか。
しかもすでに衣装を着て駆け込んでくるし。
いやいやいやいや……と見ててつぶやく。


でも。
話としてはありがちではあるが、素材にベリーダンスというのは新しかったと思うし、
そのベリーダンスの美しさとか、中東関連の要素の多用など、上手に世界を作り上げていた。

わたしは1クールに2~4本くらいのドラマを見ることが多いんだけど、
半年、または1年に1本クラスの面白さのドラマだと思った。
わたしの中では「ブラッシュアップライフ」と同ランク。10段階評価なら8くらいですか。
なかなかのドラマ。楽しめた。


以上、出来るだけフラットに見た上での感想。




※※※※※※※※※




ドラマを見始める前にはすでに事件は起こったあとだった。残念だった。
わたしは原作を読んだことがないし、経緯も実際は知らないので、その件については
何もいうべきことはない。
しかし原作ありのドラマについて、総合的に言いたい。



作り手は、原作を大切にしてください。

小説を、あるいはマンガをアニメあるいは実写化する場合、換骨奪胎は必至。
それはそうでしょう、長さもいろいろでテンポもいろいろな作品を、
ワンクール、46分×10話前後で話ごとに山場を作り、映像で表現できるようにし、
締め切り、予算、役者の力関係にまで配慮して見せなければいけないのだから。
だから、話が原作と違うものになること自体は仕方がないことだと思う。ある程度は。

しかしその「ある程度」を乗り越えさせるのは、原作への敬意ではないか。

これまで、原作が好きでその派生作品を見て、怒り心頭に発したものがどれだけあるか。
一体原作を一回でも読んだのか!といいたいものがたくさんありました。
作るのならば、原作を尊重するところから始まるべきじゃないですか。
名前と設定だけ借りて適当にでっち上げようというのが透けて見えるドラマが多々あった。
その姿勢が嫌だ。

わたしは原作付きの作品を上手に作ったドラマを尊敬するよ。難しいことだと思うから。
たとえていえば、新築の家とリフォームの家。
正直、新築の家の方が作るのは簡単でしょう。個々の家で違うところはいくらでも
あるにせよ、基本的には基準の建て方で作れる。
それに対してリフォームの家は、その現場その現場で状況に合わせた対応が必要になる。
残すか壊すか。残したものをどう生かすか。手間ははるかにかかると思う。

その手間を乗り越えさせて、いい作品を作るためには、原作をしっかりと理解して、
換骨奪胎の「骨」をちゃんとわかってないと。
それを面倒と思えばいい作品にはならない。

――と書こうと思ったら、現在流通している誤読では、換骨奪胎は「他人の作品に
ちょっと手を加えて自分の作品のように見せかけること」、つまりは盗作の意味で
読まれることもあるんだってね!恐ろしいね。うかうかしてると
どう読まれるかわからない世の中なんだね。

閑話休題。
せめて真摯に取り組んでください。その誠実さがいろいろなことを
乗り越えさせる唯一の手段だと思う。



とはいえ、システム的にきれいごとでは済まないことも推察される。

今回の問題点は、製作側が原作を軽んじたこと(おそらく長い間軽んじ続けていること)。
そこには構造のねじれがあると思う。

近年マンガ由来のドラマばっかり!面白いオリジナルのドラマを見たい!
――とわたしは文句をいいたいが、そもそも金を出すスポンサーが
数字的な裏付けのあるわかりやすい人気作(マンガ)にしかお金を出したがらないという
根本的な構造があるのよね。

そしてそのこと自体は、みんなが見る=視聴率がいい=広告効果のあるという
ある意味至極もっともな考え方ではあるから、そこが変わることはないと思う。

……まあここら辺も現状を疑って、近々に根本的な構造改革をしないと
そもそもテレビはもう終焉を迎えるだろうという気もするのだが。
しかし今まで動いてきたシステムは崩壊するまで変わらない。既得権益もありますし。
ましてやテレビを特権階級だと勘違いしているテレビ業界の旧態依然な体質の下では。

なので、その病巣をそのままにして、とりあえず小手先の対処法としてですが、
とにかくオリジナル脚本を世に出す方法を探したいわけです。

忙しい中でオリジナル脚本を何とか書くモチベーション、プロアマ問わず、
ということであれば、まあ別に目新しいことではありませんが、
そういうシナリオサイトを大きく立ち上げて、
投げ銭or人気投票的に多少なりとも金が入る場所、
これが手っ取り早いんじゃないですかねえ。

要は、youtubeのシナリオ版。
youtubeは動画だから、むしろ「小説家になろう」とかそこらへんのサイトの方が
近いのかな。シナリオを読めて、評価が目に見える場所を作れば。

多分そうそう簡単に良質なシナリオは集まらない。評価をする層とドラマを見る層の
乖離も心配。盗作の有無やグレーゾーンの扱い方も煩雑になるだろう。

しかしシナリオ界はもう少し質を上げないとジリ貧なんじゃないかねえ。
質を上げるためにはすそ野を広げる必要もあるし、それには敷居の低さも必要。
現行のシナリオ作家協会はただでさえ少ない椅子を争うライバルを増やしたくないから
非協力的だろうが、民放協会かなんかでそういうサイトを地味に運営していくくらいしか
シナリオ界に新しい風は吹かないんじゃないですかね。

シナリオって、それなりに職人芸ですからね。おそらく現場で経験しないと
書けないものではある。しかし現場の一歩を踏むシナリオライターの選抜のために、
何かの窓口は必要な気がするのよ。


わたしはそれほどドラマを見る方じゃないし、好き嫌いも多い方だから
評価が一般的な嗜好に合致するとは我ながら全く思えないが、
いいドラマだった!と思うドラマをたくさん見たいと思うよ。
作る方々には頑張って欲しい。金と時間のシビアさに負けずに、誠実に。



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