THE WORLD IS WATING FOR THE SUNRISE

地球が普通の人の棲む惑星になることを夢見て

籠橋さんのこと14

2017-09-14 23:09:57 | Kさんの事

その電話の主はもちろん籠橋さんですが、この辺の記憶も曖昧で、

一緒に生活しようと約束した時は当然東京に来るものと思っていましたが、

その約束を破棄された後は、どういう話をしてたのか、恐縮ですが

記憶にございません。実家に帰るのを躊躇っていたことは知ってたので

やはり東京に来るよう勧めて、彼女もその予定でいたのか。

だとすれば住む所をあらかじめ探していたと思うけど、それはしてなかったし、

ということは、東京に来るかもしれないし、来ないかもしれない、

という話だったのかもしれないし。いずれにせよ、その電話は突然のもので、

私が実家に帰ってから、一週間か二週間の間位だったと思います。

しかも電話をかけてきた時、彼女はその日に野辺山から東京に来たばかりで、

今いる場所が池袋駅だと言うのです。おそらく中央線小淵沢駅から新宿駅経由、

山手線で池袋に辿り着いて、助けを求めるつもりで電話をかけてきたのだろうと

推測しますが、その時私が家にいなかったらと思うとゾッとします。

当時は勿論携帯など無かったし、他に連絡の取りようがないですから。

でもそれも、私の衝動的行動のように見えた野辺山侵攻同様、彼女の為に

予定されたシナリオだったのかも知れません。

連絡を受けてから、慌てて池袋駅に行くと、私が入る前に辞めていった男性から

もらったという、男物の作業用紺色ジャンバーに、やや大きめのバッグとギターという

一際目立つ姿の籠橋さんが心細そうに改札のそばに立っていました。

続く

 

 


籠橋さんのこと13

2017-09-14 00:18:58 | Kさんの事

5月初旬から10月末まで、念願だった野菜農家のバイトを無事勤め上げ

東京の自宅に帰ったのは11月に入ってからだったと思います。

百姓の仕事はさすがに厳しかったようで、行く前72kgあった体重が

帰ってきた時には57kgに減っていました。今思えば、

お金がもらえてダイエット出来る、サイコーの仕事だったような気がします。

また、夜間大学そっちのけで、親にも相談無しの暴挙だったため、さぞかし

怒られるものと思っていましたが、何故か例のごとく全く記憶にございません。

おそらく、どちらかというと厳格系の親だったから、叱られたものとは思いますが。

ただ、この都合の悪い事は忘れてしまいましたが、もう一つの都合の悪いことは

ハッキリ覚えています。それは当たり前のことなのに、家に帰るまで思いもしなかった

通告でした。それは、学費を半年間納めていなかった為、大学を除籍処分にするという

一通の手紙でした。

それまでの4年間、自分で稼いだ金で払っていた学費の事を、野辺山に行くと決めた

瞬間から全く忘れていました。勿論、大学を止めてもいいという気持ちもあったのですが、

その通知が来てたことで、休学という選択肢もあったのだと、超超ちょっぴり

後悔もありました。でも、今更どうにもなるものでも無いので、気持ちを切り替え、

自宅に帰ってから本格的に就職しようと就活を始めました。

私の人生でも最初で最後とも言えるスーツを着ての面接を何社か受けましたが、

穀物輸入商社では、日本は食糧自給率をもっと上げ、自給自足を目指さないと

ダメだ、などとやってしまい、採用されるわけも無く、結局はアルバイトニュースで

アルバイトを探すようになるのですが、その就活期間中、自宅待機してたある日

突然のビックリする電話がありました。

続く